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2008/01/22

CO2排出ゼロの未来都市、アブダビ首長国が建設へ


2008年1月21日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ(Abu Dhabi)で開幕した代替エネルギーに関する国際会議「World Future Energy Summit」の開会式で発表された二酸化炭素(CO2)排出量ゼロの都市「マスダール・シティー(Masdar City)」の完成予想図。(c)AFP/Karim SAHIB

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2339982/2543228
【1月22日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ(Abu Dhabi)首長国で、世界初となる二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロ・カーボン・シティー」の建設が来月から開始される。アブダビで同日開幕した国際会議「World Future Energy Summit」で開発業者が発表した。
■地球に優しい未来型都市
「マスダール・シティー(Masdar City)」と名付けられたこの新都市は 2013年の完成予定で、総面積は6平方キロ、想定人口は5万人。太陽熱発電など再利用可能なエネルギーで都市全体を賄う。「マスダール」はアラビア語で「資源」の意。マスダールの建設に当たるAbu Dhabi Future Energy CompanyADFEC)の担当者はこの都市について、「CO2を排出せず、地球にまったく害を及ぼさない。その上、住民に最高級の生活水準を提供する都市になる」と胸を張る。
■市内交通には「自動ポッド」
 マスダール市内の移動には自動車を一切使用せず、路面電車と自動化された「自動ポッド」を利用するという。ポッドは水平移動するエレベーターのようなもので、口頭で行き先を伝えるだけでその場所に運んでくれるという。 都市設計はフォスター・アンド・パートナーズ(Foster and Partners)が担当。高層ビルがひしめくアブダビ市と異なり、マスダール市内は低層建築物で統一され、すべての建物の屋上にソーラーパネルが設置される。また、海風を利用して砂漠の熱風を防ぎ、隣接するアブダビ国際空港(Abu Dhabi irport)からの騒音は外壁で遮断する。
■太陽光発電で電力を完全供給
 新都市の電力は、約3億5000万ドル(約370億円)かけて建設される100メガワット級の太陽熱発電所が供給。将来的には、発電能力を500メガワットまで拡充し、ピーク時の電力供給圧力を緩和する。 さらに、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Tech-nology、MIT)と共同で、未来のエネルギーを研究する大学も設置されるという。
■原油依存経済から脱却できるか
 マスダール・シティー計画は、2006年にアブダビ首長国政府が発表した「マスダール・イニシアティブ」と呼ばれる構想の一部だが、民間自然保護団体「世界自然保護基金(WWF)」も旗艦プロジェクトと位置づけ参加している。 ADFECのアル・ジャービル(Sultan al-Jaber)CEOは「マスダール」構想の意義について、「代替エネルギーに特化した新しい経済分野」となり、「国家経済にも良い影響を与えるだろう」と語る。 アブダビ首長国にはUAE全体の原油および天然ガスの大半が埋蔵されており、埋蔵量はそれぞれ世界第5位と4位。今後150年間は産出できる見通しだ。しかし、ほかの多くの産油国と同様に、UEAも原油だけに依存する経済からの脱却を図ろうとしている。
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アブダビ、ポスト原油に動く-オイルマネーを自然エネルギー開発に戦略的投資
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071227/144119/
2008年1月7日 月曜日
Stanley Reed (BusinessWeek誌、ロンドン支局長)、Reena Jana
米国時間2007年12月13日更新 「Guess Who's Building a Green City」
 アブダビ国際空港の王族専用ターミナルと向かい合って、かつての植栽場がある。今は見る影もなく、1600エーカーの砂地の所々に、みすぼらしい小さな木立が残っているだけだ。だが柵で囲まれた区画では、壮大な都市建設計画が進行している。無尽蔵にも思える富を誇る土地にあって、その計画はひときわ目を引いている。  そこではコンクリートの平板の上で、技術者が太陽熱収集器の試験の準備をしている。これを使って、ペルシャ湾に近いこの砂の荒れ地に建設中の10万人規模の未来都市に電力を供給するためだ。目指すは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を一切排出しない、世界初の「ゼロエミッション」都市の建設である。
●石油大国が“脱石油”に先手を打つという皮肉
 何とも皮肉な話である。石油とカネがあふれんばかりの中東の国――アブダビ首長国だけで石油埋蔵量は1000億バレル近い――が、“ポスト石油”時代の未来都市を地球上のどこよりも早く建設しようというのだから。  しかしながら、この都市計画(英ロンドンの設計事務所、フォスター・アンド・パートナーズが手がける)は、アブダビによる常識破りの取り組みの1つにすぎない。この首長国は、再生・持続可能なエネルギー技術に何十億ドルもの資金を投じ、“脱石油”を加速させる産業を新興しようとしているのだ。  これは実に賢明な計画だとプロジェクトを主導する政府系組織のCEO(最高経営責任者)、スルタン・アル・ジャベール氏は言う。アブダビの豊富な石油資源もいつかは枯渇してしまう。「石油や天然ガスで得た収入を、将来主導権を手にできそうな分野に投資することが、アブダビにとっては一番いい」と同氏は言う。
●太陽熱発電で“ゼロエミッション”を目指す
 プロジェクト全体は「マスダル」(アラビア語で“源”)と呼ばれているが、これは太陽を指す。同じくマスダルと呼ばれる新都市は、「アラビアン・ナイト」と「宇宙家族ジェットソン」(注:30世紀の宇宙を舞台にしたホームコメディーアニメ)を合わせたようなものとなる。  アラブの伝統的建築物「ウィンド・タワー(風の塔)」を自然のエアコンとして利用することで都市に風を送り込む。同時に中庭に噴水を設置して散水することで、乾いた暑さに湿気を与える。建物は古来のカスバのように狭い通りに密集させて、華氏120度(摂氏約50度)にもなるアブダビの夏場にもエアコンを余り使わずに済むようにする。一方で最新式の冷却システムなども採り入れていく。「最初から高いエネルギー利用効率を達成する」とアル・ジャベール氏は言う。  主に利用するのは、風力発電ではなく太陽熱発電である。この土地の灼けつくような日射しと気まぐれにしか吹かない風を考えると妥当な選択だ。  都市に入るには、「フェラーリ」や「ポルシェ」を都市を囲む城壁の外に置いていかなければならない。都市内では徒歩か自転車、あるいは自動運転の未来型レールカーを利用する。  アブダビの挑戦はこの環境都市の建設にとどまらない。投資資金2億5000万ドルの大半を、環境技術企業に投資している。対象は、電動モーター式2輪車を製造する米セグウェイ(本社:ニューハンプシャー州ベッドフォード)やソーラー技術メーカー、廃水浄化処理会社などだ。  新たに10億ドルの基金の計画も進んでいる。英BP(BP)の前CEOで、現在はエネルギー専門のプライベートエクイティ(未上場株)投資会社リバーストーン・ホールディングス(本社:米ニューヨーク)の共同経営者であるジョン・ブラウン卿は、12月9日マスダル幹部と会談し、提携の可能性を話し合った。リバーストーンは米投資ファンド大手カーライル・グループと密接な関係にある。カーライル株式の7.5%を保有するムバダラ・デベロップメントは、アブダビ政府が100%出資する投資会社でマスダルの親会社だ。
●研究から生産まで世界中から先端企業を誘致
 アル・ジャベール氏は、再生可能エネルギーの分野で、研究から大規模生産まで手広く手がけていきたいと考えている。そうすれば代替エネルギー関連の企業が資金潤沢な投資家を求めて次々に集まってくることは間違いない。  マスダル幹部によると、これまでより安価な薄膜太陽電池パネルの生産に関する5億ドルの契約が間もなく成立する見込みだという。世界の太陽エネルギー産業の中心地ドイツとアブダビに“双子工場”を建設する。これは、マスダルが計画している約20億ドル規模の軽工業プロジェクトの第1弾となる。新都市に必要な300メガワットの太陽エネルギーを供給するためには、10億ドル以上の費用が必要になると見られている。  さらに緑化計画には別の利点もある。質の高い雇用機会の創出だ。アブダビの人口は現在わずか180万人だが、急速に増加しているためこうした機会が必要になるのは明らかだ。族長とその側近は、世界的な地球温暖化対策への貢献は、極めて重要で崇高な動機づけになると考えている。アブダビはこうした環境対策での実績を訴えようと、2008年1月下旬に3日間にわたる世界未来エネルギーサミットを開催する。  前途には数々の試練が待ち受けている。大きな問題は、十分な数の優れた科学者、技術者、起業家をアブダビに呼び寄せることができるかどうかだ。アブダビのわずかな人口では、技術的進歩に依存する産業を発展させていく有能な人材を確保することは難しい。人的資源を大幅に拡充しないと、マスダル・プロジェクトはアラブではよくある外見は立派だが中身は空っぽの建物になりかねない。
●ドバイへのライバル意識も
 だがアブダビがマスダル・プロジェクトを成功させれば、地球全体にとっても大きな利益となるだろうと外部の専門家は言う。  「このゼロエミッション都市の建設から、学べることは非常に多い」と言うのはロン・パーニック氏だ。サンフランシスコとオレゴン州ポートランドに拠点を持つコンサルティング会社、米クリーン・エッジの共同設立者である。アブダビによる努力の成果は、毎年マンハッタン2つ分に相当する都市が誕生している中国にも応用できると同氏は言う。  マスダル・プロジェクトは、ムハンマド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤンアブダビ皇太子の肝いりで2004年に始まった。皇太子は側近に命じて、活気を失っていたアブダビを活性化し、経済を多様化させるための方法を考案させたのである。  同時にこの計画は、隣国の競争相手ドバイから世間の注目を奪う機会にもなった。ドバイはアブダビとは異なり、金融サービスへの投資に力を入れている。両首長国同士のライバル意識は根が深い。例えば、12月7日に米国のポップスター、ジャスティン・ティンバーレイクがドバイでコンサートを予定していたが、アブダビ政府関係者が介入して開催地をアブダビに変更するということがあった。コンサートの主催者はマスダルの親会社だった。
●マサチューセッツ工科大学と提携、研究所を設立
 最高のアーティストだけではなく、最高の知性を呼び寄せることにもアブダビは熱意を注いでいる。既にマスダルは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)と提携して、小規模な研究大学「マスダル科学技術研究所」の設立を計画している。再生可能エネルギー技術を専門とする同研究所は、新都市で先陣を切って活動を開始、2009年秋には学生100人、教職員30人を受け入れる計画だ。  MITがカリキュラムを作成し、米デラウェア大学の元学長ラッセル・C・ジョーンズ博士が教師陣を束ねる。ジョーンズ博士は、72歳で再び学長への就任を決意した理由として、「今の時代で最も困難で、最も重要な課題の1つと取り組んでいくためだ」と述べている。
(アブダビの新都市構想に関するスライドショーはこちら)
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