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2008/04/03

年商100倍の急成長 シャープを抜いた! 中国の太陽電池大手・サンテックの驚異


http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/c30664a48396bcc09b89429a18b7bab3/
08/03/20 | 15:01
2月下旬に東京ビッグサイトで開かれた国際太陽電池展。広大な会場で最も大きなブースを誇り、客足を止めたのは、中国の太陽電池メーカー、サンテック・パワー(尚徳電力)。日本の“お家芸”ともいわれた太陽電池における、新興勢力の台頭ぶりが一目瞭然だった。 江蘇省無錫に本社を置くサンテックは2001年9月設立と歴史は浅いが、その成長は驚異的だ。赤字企業だったのは設立翌年まで。その後は倍々ゲーム以上の成長を続け、07年12月期は売上高が約13・4億ドル、営業利益が1・7億ドル。過去5年間で、売上高は100倍、営業利益は220倍に急膨張した計算だ。業界順位は07年、ついにシャープを追い越し、世界2位につけている(1位はドイツのQセルズ)。同展の基調講演では英国人のグラハム・アーテス最高執行責任者(COO)が、同社の研究開発体制や08年上期にも開始を見込んでいる日本市場での販売計画などを満面の笑みで語った。直前の講演では、シャープの濱野稔重・ソーラーシステム事業本部長が「07年はシリコン不足で、シャープにとって非常に厳しい1年だった」と重々しい表情で語ったのとは好対照だ。年間生産量そのものはシャープがわずかに2メガワットサンテックを下回っただけだが、業界の巨人を抜いた事実がサンテックの経営陣に圧倒的な自信を与えた。
(未曾有のシリコン不足 10年の長期調達で克服)
 07年の太陽電池市場でシリコン不足に悩まされ、つまずいたのはシャープだけではない。台湾・シンガポールなど新規参入の電池メーカーが増えて業界内で取り合いになったうえ、同様にシリコンを原料に使うメモリ半導体も大幅増産だった。その需要拡大と裏腹に、供給側のシリコンメーカーは巨額投資の伴う増産に慎重な姿勢をとったため、極端なシリコン不足が起こっていたのだ。この環境の中、業界トップ3から転落した京セラは、「原料がないという苦しみに耐える時期だった。いかにシリコン量を低減し生産するかの品質改善に努めていた」(ソーラーエネルギー事業本部)と歯がみする。業界全体を覆ったこのシリコン不足を、サンテックはどのように乗り切ったのか。実は、シリコン不足の兆しが見え始めた06年の時点で、複数のシリコンメーカーと10年間もの長期買い入れ契約を結んでいたのだ。サンテック側は契約金額・数量を明らかにしないが、業界関係者の推計では数百億円を超える巨額契約であったとされる。

「わが社は研究開発から生産・販売まで、太陽電池のみに事業を集約した“ピュアプレーヤー”。だからこそ産業の潮目を正確に読み、迅速に経営判断を下すことができる」施正栄(シ・ジェンロン)最高経営責任者(CEO)はそう語る。サンテックが迅速かつ大胆に巨額投資に踏み切れる理由はもう一つある。05年に米ニューヨーク上場を果たし、4・5億ドルという巨額の資金を調達したからだ。株式市場の活況もさることながら、「中国」「環境」「ハイテク」という話題性の高い銘柄だったことが大きい。この結果、上位株主でもある施CEOは翌06年、米『フォーブス』誌の富豪ランキングで中国人としては最高位の世界40位に名を連ね、一躍中国起業家の羨望の的となった。 また、06年には日本の太陽電池の主要部品であるモジュールを生産するMSKを123億円で買収、傘下に収めている。MSKの笠原唯男社長は、「買収提案を受ける前から施CEOとは意気投合する知り合いだった。サンテック傘下に入ることで、世界市場に一挙にビジネス範囲が広がった」と語る。日本の業界関係者には「中国企業に買われるとは」と抵抗感を示す向きもあったが、「企業風土も合う。今でも非常によい選択をしたと自信を持っている」と笠原社長は語る。そもそも、サンテックの舵を握る施氏はどのような経歴を持つ人物なのか。1963年、江蘇省出身。名門大学を卒業後、中国で最も権威がある科学研究機関・中国科学院で精密機械を研究した。続いてオーストラリアへ留学して太陽電池技術を学び、現地の電池メーカーに勤務。そして中国に戻り、オーストラリアの仲間とともにサンテックを設立――。留学経験のある中国人の多くが夢見る、中国型エリートにとっての成功の階段を着々と歩んできた。設立当初のサンテックには、地元政府のベンチャーキャピタルなどが出資していたが、それも納得できるほど“血筋”がいい起業家なのだ。現在、サンテックの地域別売上高はドイツなど欧州各国7割、中国2割という構成。米国向けはまだ数%ながら、急速に売上高が伸びている。これらの市場の共通点は、ドイツの「フィードイン・タリフ」(電力会社が太陽光発電の電気を高く買い取る制度)など、個人や企業に発電装置導入のインセンティブとなる制度を政府が設けていることだ。だがサンテックが近く参入する日本は、勝手が異なる。日本では05年度に導入支援制度が世界でひと足早く廃止され、発電装置の導入件数も廃止を機に横ばいが続いている。日本の大手メーカーが海外市場に活路を求めるのも、国内の市場環境が非常に厳しいからだ。 日本参入について施CEOは、「サンテックは業界でも最も大規模な研究開発チームを持ち、低コストかつ高性能の太陽電池を開発できる能力がある。日本では家庭や消費者の需要に徹底的に合わせた製品を売り込む」と自信を見せる。買収したMSKが日本市場を熟知しているのも心強い材料だろう。後発の新興国メーカーが市場調達資金を武器に巨額投資を行い、日本企業を追い抜く。この構図に、韓国・台湾企業の後塵を拝した日の丸半導体産業を重ね合わせて見る向きもある。だが最大の違いは、世界の太陽電池市場がまだ、政策の支援を得てやっと成り立つ脆弱な産業である点だ。今後の産業政策次第では、動向はどのようにも変わりうる。新興のサンテックがこのまま疾走するか、20年の産業史を持つ日本メーカーが巻き返すか。勝負はこれからだ。(週刊東洋経済)

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