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2008/09/25

メルセデス、ハイブリッド車投入の狙い-最高級セダン「Sクラス」が低燃費を実現-バッテリーを大幅に改良


http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080924/171465/?P=1&ST=bw
2008年9月25日 木曜日
Jack Ewing (BusinessWeek誌、欧州担当エディター)
米国時間2008年9月11日更新 「A Mercedes Hybrid at Last」

 ドイツの自動車メーカーには、自分たちが新技術の最先端を走っているという自負がある。そのため、トヨタ自動車(TM)がハイブリッドカー「プリウス」を発売して以来10年が経過した今、一社としてハイブリッドモデルを市場に投入していないことには、いささか面目を失した感があった。

 だが、燃費効率や環境負荷に対する富裕層の顧客の関心が急激に高まっていることを受け、独ダイムラー(DAI)はついに、「メルセデス・ベンツ」ブランドでハイブリッド車市場に乗り込む体制を整えた。

 2009年6月、メルセデスは最高級セダン「Sクラス」のハイブリッドモデルを欧州市場に投入する。その燃費は7.9リットル/100キロメートル(約12.6キロメートル/リットル)。9月11日には、同社は2009年9月に米国及び中国でも発売することを発表した。

 価格は未定だが、メルセデス乗用車部門販売・マーケティング担当クラウス・マイヤー氏によれば、従来車種より1万ユーロ(約150万円)弱程度割高となるもようだ。米国で販売されているSクラスの最低価格は約8万8000ドル(約924万円)だが、V型12気筒エンジンを搭載した最上位モデルでは、価格は14万5000ドル(約1523万円)に跳ね上がる。


大型車にこだわる理由

 地球温暖化や産油国への大規模な資金の流入を心配するなら小型車を購入すればいいではないか、と皮肉る向きもある。だが、メルセデスの顧客層の環境意識はまだそこまで高くはないと同社は考えているようだ。

 「皆が皆、休暇に超小型車『スマート』を乗り回せるわけではない。大型車が抱える問題を解決していくことが必要だ」とマイヤー氏は言う。

 メルセデスのハイブリッド市場参入がこれほど遅れた原因は何だろうか。その1つに、独BMW(BMWG.DE)や独フォルクスワーゲン(VOWG.DE)と同様に、ディーゼルエンジン車の開発に主眼を置いていたことが挙げられる。BMWの小型車「ミニ」及び「1シリーズ」は、低燃費・二酸化炭素(CO2)の低排出の点でプリウスと肩を並べる。

 また、ダイムラーがこの夏米国に投入したクリーンディーゼルシステム搭載のSUV(多目的スポーツ車)「ブルーテック」は、米国市場でのメルセデスのSUV販売台数の20%を占めるという。市場全体ではディーゼル車の割合がわずか4%であることを考えると、かなり高い数字だ。

 技術的観点からすれば、ハイブリッド車と同等、もしくは高速走行時はそれ以上の燃費効率を実現しながらも軽量・低価格のディーゼル車の方が、技術的には上だと言える。だが、トヨタの高級車ブランド「レクサス」のハイブリッドモデルの成功で、ガソリン車を好む米消費者の間ではハイブリッド車の需要が高まっていることが浮き彫りになった。

 「これまでメルセデスは『地球を救いたければディーゼル車を買おう』と主張していた。だが、それはあくまで彼らの論理であって、市場では通用しなかったということだ」と、米調査コンサルティング会社グローバルインサイトのドイツ支社(所在地:フランクフルト)の自動車アナリスト、クリストフ・シュツルマー氏は指摘する。

Sクラスはいわゆるフルハイブリッドではなく、バッテリーだけで走行することはできない。279馬力の6気筒ガソリンエンジンを電気モーターで補完し、加速時には駆動力を加味して燃費を向上させる。また、減速時にはエネルギーを回収しバッテリーに貯蔵する。とはいえ、メルセデスは新機軸を採用し、競合する日本のハイブリッド車との差別化を目指している。

バッテリーを大幅に改良

 技術革新の中心となっているのがリチウムイオンバッテリーだ。独自動車部品大手コンチネンタル(CONG.DE)との共同開発により、競合するハイブリッド車で使われているバッテリーに比べ、軽量・小型化を実現した。従来の自動車用バッテリーより若干大きめではあるものの、ボンネットフード内に収納できるため車内スペースには影響がない。また、電気モーターを含めたハイブリッド部品の総重量は、75キログラム程度で収まる。

 化学的な原理はノートPCや携帯電話に使われているバッテリーと同じだ。だが、メルセデス幹部の主張によれば、家電メーカーを悩ませている過熱による発火の危険性はない。

 Sクラス・ハイブリッドプロジェクトの戦略担当部長オリヴァー・ヴォルラース氏は、「万が一過熱した場合には、システムが自動的に停止する。いかなる場合でも電源管理システムが作動して問題を未然に防ぐようになっており、ノートPCのようなことにはならない」と言う。

 リチウムイオンバッテリーの改良により、効率性で競合車を上回るだけでなく、性能や快適性を犠牲にすることなく燃費向上を実現するという長期目標の達成に弾みがつく。メルセデスはSクラスに続いて、年に最低1モデルのハイブリッド車投入を目指している。マイヤー氏は意気込みをこう語る。「6年以内には、何かを犠牲にしたり、罪の意識を覚えたりせずに大型車を乗り回せるようにしていきたい」。


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