外観は1960年代のカフェレーサーにインスパイアされたもの。カフェレーサーは軽量で、カフェから隣のカフェまでの短い距離を移動するバイクでした。そしてこれはそのまま、「NAWA Racer」のコンセプトとされています。
「NAWA Racer」の最大の特徴は、2つの蓄電装置からなるシステムを搭載している点にあります。システムは上半分と下半分に分かれていて、下半分には従来型のリチウムイオンバッテリーが装備されています。
その容量はわずか9kWh。この容量にもかかわらず、街中であれば1回の充電で300kmの走行が可能となっています。その秘密が、上半分に組み込まれたNAWA Technologiesによるウルトラキャパシタにあります。
「NAWA Racer」は回生ブレーキを備えていて、減速時に発電しています。通常の電動バイクではこの電力でリチウムイオンバッテリーを充電するのですが、リチウムイオンバッテリーは充電に時間がかかるため回生エネルギーを効率良く蓄電できません。
その点、ウルトラキャパシタは回生エネルギーを高効率で蓄電できます。NAWA Technologiesによれば、回生ブレーキによるエネルギーの80~90%を蓄電できるのだとか。これが「NAWA Racer」が1回の充電で300km走れる秘密となっています。
「それならリチウムイオンバッテリーは搭載せず、ウルトラキャパシタだけにすれば?」と思ってしまいますが、でもウルトラキャパシタにはためたエネルギーを比較的短時間に放出してしまうという欠点があります。ウルトラキャパシタとリチウムイオンバッテリーを組み合わせることで、双方の欠点を補い合い、効率の高い蓄電システムを構築できるというわけです。
パワーユニットについても少し触れておくと、リアには99hpを発揮するモーターが装備されており、0-100km/h加速では3秒以内を実現しています。ウルトラキャパシタは軽量なため「NAWA Racer」の重量はわずか150kgに抑えられており、この軽さが鋭い加速を実現しています。
この蓄電システムは、信号などでのストップアンドゴーが多い都市部で特に有効。NAWA Technologiesは今後、バイクメーカーや自動車メーカーに同社の蓄電システムを販売していくということなので、都市部に強い電動バイクや電気自動車の登場が期待できます。
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