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2009/10/12

東京電力、築地市場に外部電源式のアイドリングストップ冷凍・冷暖房システムを導入(2009/06/01)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090601/171102/

ここにはトップやアーカイブページで省略される(記事単独ページでだけ表示される)文章を書きます。


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2009/01/27

注目のエコ製品・サービス アイドリングストップ給電システム-トラックのアイドリングストップに向けた動きが活発化



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2008/09/08

【パリショー】マツダ、小型・軽量のコンセプトカー「清」を出展



http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20080904/157505/
マツダは、パリモーターショー2008(Paris Mondial de l'Automobile 2008、一般公開日:2008年10月4~19日)に、CO2排出量の削減を目指した小型・軽量のコンセプトカー「清(きよら)」を出展すると発表した。環境性能に優れたクルマが都会を駆け抜ける様子を水にたとえ、清らかで透明なイメージから車名を決めたという。

 軽量化しつつ安全性を高めた新しいプラットフォームを採用し、空力特性を向上した“流れ”デザインと、次世代直噴4気筒ガソリンエンジン、アイドリングストップ機構「スマートアイドルストップシステム」を搭載することにより、燃費を向上し、大幅にCO2排出量を削減した。

 そのほか、一部改良した「MX-5(日本名:ロードスター)」、ディーゼルエンジン「MZR-CD2.2」を搭載した「Mazda6(日本名:アテンザ)」、ディーゼルエンジン「MZ-CD1.6」を搭載した「Mazda2(日本名:デミオ)」(いずれも欧州仕様)などを出展する。



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2008/09/04

特集2050年への革新技術-5次世代自動車の勝者は?日本車大手が競う新技術開発


http://premium.nikkeibp.co.jp/em/report/104/
取材・文/増谷茂樹 タイトル写真提供/トヨタ自動車
2008年8月28日(木)公開総合的な性能でガソリン車をリードする燃料電池車 日本の二酸化炭素(CO2)排出量のうち運輸部門が占める割合は約2割。その約半分が自家用乗用車からの排出だ。経済産業省の「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」に選ばれた21技術のうち乗用車に関する技術は、「燃料電池車」と「プラグイン・ハイブリッド車、電気自動車(EV、あるいはBattery EVとも呼ばれる)」の2種類。従来からある技術ではなく、“革新的な新技術”という選定基準から、クリーンディーゼル車などは入っていない。燃料電池車は水素を燃料とし、燃料電池で発電した電気を動力源にすることで、走行時にはCO2を排出しないことから、一時は“究極のエコカー”と期待された。実際には水素製造時にCO2を排出するが、それでもガソリン車の3分の1程度にCO2排出を減らすことができる。さらに、再生可能エネルギーから水素を製造できるようになれば、さらなるCO2削減が可能になる。ただし、ガソリンなどの液体燃料と比べると、気体であるために取り扱いが難しく、安全な貯蔵技術や航続距離、さらには生成水が凍ってしまうことによる低温時の始動性などが課題とされてきた。しかし、車体側の課題は、現在ではかなり解決されつつある。ホンダが2007年11月に発表し、2008年11月から国内でもリース販売を開始する「FCXクラリティ」では約620kmという航続距離を達成。これは従来モデルと比較して約30%の延びとなっているが、これは、燃費でも約20%の向上を果たしていることと、水素タンクの容量アップによるものだ。燃料電池のエネルギー効率も約10%向上している。また、気温がマイナス30℃でも始動可能だ。「トヨタFCHV-adv」では燃料電池を一新して制御システムを改良したことにより、寒冷地での利用可能地域を拡大した。また、回生ブレーキシステムも高燃費に貢献している(写真提供・トヨタ自動車) トヨタが2008年6月に発表した「トヨタFCHV-adv」でも、燃料電池の制御システムの改良により生成水をコントロールすることで、気温がマイナス30℃でも始動・走行が可能となっている。航続距離も約830kmと、ガソリン車に勝るとも劣らない性能を実現した。また、この「トヨタFCHV-adv」は、同社得意のハイブリッド車に採用されている回生ブレーキシステムを組み合わせた燃料電池ハイブリッド車(FCHV)で、この回生ブレーキシステムの改善により、従来モデルよりも約25%の燃費向上を果たしている。販売時期については未定だが、すでに国土交通省の型式認証を取得しており、今年7月に開催された北海道・洞爺湖サミット(主要国首脳会議)でも、国際メディアセンターに試乗車が用意されていた。燃料電池車普及に立ちはだかるコストとインフラの壁 ホンダとトヨタが発表した燃料電池車は両車とも、航続距離などの性能ではガソリン車と同等のレベルを達成しており、技術的には実用レベルに達している。普及への課題となるのは、一説には1台1億円ともいわれる生産コストと水素インフラの整備だ。今年11月に日本でもリース販売を開始する予定のホンダ「FCX クラリティ」。燃料電池車専用に設計されており、日米合わせて、3年間で200台の販売が計画されている(写真提供・ホンダ) 「FCXクラリティ」については、米国では月額600ドルの価格でリースされているが、国内でのリース価格は未定。従来モデルの「FCXコンセプト」は月額80万円を超える価格であったが、それと同程度になると予想されている。コストについては、「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」でも課題としており、「現状から100分の1程度のコストダウンが必要」との見方を示している。そのためには、量産によるコスト削減効果が欠かせず、燃料電池システムのコスト要因である白金融媒の使用量低減や、代替のための融媒技術の開発も必要とされている。普及に向けた、もうひとつの大きな課題は、水素インフラの整備だ。経産省が実施する「水素・燃料電池実証プロジェクト」により運営される国内の水素ステーションは、関東・中部・関西地区で合計11カ所。これに加えて実験設備が1カ所あるが、全国に存在するガソリンスタンドの数とは比べるべくもない。過去には、水素のパイプラインを全国に張り巡らせる計画も叫ばれたが、具体的な動きがないまま現在に至っている。燃料電池車が普及するためには、ガソリン車と競合し、ガソリン車からの乗り換え需要が発生する必要がある。しかし、現状の水素インフラの脆弱さでは、よほどのガソリン価格の高騰やガソリン枯渇が生じない限り、ガソリン車と比較して燃料電池車を選ぶユーザーが増えることはないだろう。自動車メーカー側からすれば、「車はできている」状態であり、燃料電池車の普及は、後はメーカーの事業の範疇を超えたインフラの整備にかかっているといえる。効率で上回るEVの課題は航続距離 燃料電池車が水素インフラの整備の問題を抱えて足踏みするなか、注目度が高まっているのがEVだ。専用の急速充電ステーションの数はまだ少ないが、電気インフラは全国に張り巡らされており、急速充電器の設置、あるいは家庭用コンセントからの充電さえ一般化すれば、インフラ面での課題は、ほぼ解消される。走行時のCO2排出は燃料電池車と同じくゼロで、国内に限れば、発電時のCO2排出を計算に入れても、1km走行あたりのCO2排出量は燃料電池車よりも少ない。「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」では、CO2排出量はガソリン車の4分の1まで削減できるとしている。三菱自動車のEV「i MiEV(アイ ミーブ)」。電気を動力源にするため走行中はCO2を排出しない。最高時速も130km/時と一般的な使用に不自由を感じさせない完成度となっている(写真提供・三菱自動車) 燃料の生産・供給から走行までの全課程での効率を指す「Well to Wheel」でみた場合、EVのエネルギー総合効率は28.5%。ガソリン車の12.4%やディーゼル車の15.8%と比べて優れているだけでなく、ハイブリッド車の24.8%と比較しても効率が高い。特に優れているのは「Tank to Wheel」と呼ばれる走行時の効率で、ガソリン車が約15%、ハイブリッド車が約30%であるのに対して、EVは66.5%と圧倒的な数値を示している。「Well to Tank」と呼ばれる自動車に充電するまでの電力の発電・送電効率は42.9%で、ガソリンの精製・輸送過程での効率約82%のほぼ半分にとどまるが、日本の平均電力構成で算出した場合でも、両者を総合した「Well to Wheel」の数値ではEVが最も効率の優れた自動車ということになる。ただし、EVの場合、燃料電池車と比べても短い航続距離がネックとなる。EVを開発しているメーカーは数多いが、その先陣を切って2009年夏に市場投入が予定されている三菱自動車の「i MiEV(アイ ミーブ)」では、1回の充電で走れる航続距離は160kmだが、エアコンなどで電力を消費すると、航続距離はさらに短くなってしまう。「現状は実用で100km程度。将来的には、どのような使用状況でも100kmは走れるようにしていきたい」と、同社MiEV事業統括室マネージャーの吉名隆氏は語る。EV普及を左右する電池開発 EVの航続距離延長のカギとなるのはバッテリーだ。EVの開発は古くから行われてきたが、1970年代のオイルショックの頃に開発されたものはバッテリーに鉛電池を使用していたため、バンタイプの荷台を埋め尽くすほどバッテリーを搭載しても、航続距離はガソリン車に及ばなかった。近年、ニッケル水素電池や、それよりさらにコンパクトでエネルギー密度の高いリチウムイオン電池が開発されたことで、以前よりも少ないバッテリーで航続距離を延ばすことが可能になっている。しかし、それでも航続距離はガソリン車に及ばず、また、大型車クラスでは大型のモーターが必要で、バッテリーの搭載量も多くなりすぎる。このため、現状では軽自動車クラスのコンパクトカーに限られている。「i MiEV」は、2009年夏から、電力会社などの法人や自治体などを中心に市場投入され、2010年からは本格的な一般販売が開始される予定となっている。しかし、「リチウムイオン電池の生産量が限られているため、徐々に生産台数を増やさざるを得ない」と吉名マネージャーは語る。バッテリーの搭載量は車両価格でもネックとなる。「i MiEV」の販売価格は、国による補助金を受けたとしても「お客様のご負担額300万円以下をめざしたい」(吉名マネージャー)という水準。ベースとなる「i」の価格が、高いものでも150万円程度、最も低いグレードだと約106万円であることを考えると、その価格差は大きい。ガソリン車と「i MiEV」の走行時にかかるコストを比較すると、昼間の電力を利用して3分の1、夜間電力を利用すれば9分の1まで抑えられるが、それでも価格差を埋めるためには、年間1万kmを走るユーザーが12年以上かかる計算になってしまう。もちろん、ガソリン価格がさらに高騰すれば、もっと短期間で元が取れるようになるかもしれないが、埋めがたい差があるのは紛れもない事実だ。この価格差の大きな要因となっているのがリチウムイオン電池。リチウムイオン電池の価格は現在、1kW時あたり20万円程度とされる。「i MiEV」に搭載される電池の量は16kW時だから、車両価格の大部分をリチウムイオン電池が占めているといっても過言ではない。今後、EVの量産が進めば、量産効果によって車両コストを下げることができるが、その際にも、電池価格の低減が、ユーザーに求めやすい価格を実現するうえで大きな課題となる。「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」でも、この点については「2015年までにコストを7分の1に低減することをめざす」と明記されている。充電インフラの整備が一気に進む可能性も こうした問題に対応するため、三菱自動車はバッテリーメーカーであるジーエス・ユアサ、三菱商事と共同で、EV用の大容量リチウムイオン電池を製造する「リチウムエナジージャパン」(本社・京都市)を2007年12月に設立。2009年度には年産でEV2000台分に相当する20万個のリチウムイオン電池生産をめざす計画だ。「2010年度にEVを日本と米国で市場投入し、2012年度にはグローバルに販売する」と発表した日産も、NECおよびNECトーキンとともに、EV用のリチウムイオン電池を量産するための合弁会社「オートモーティブエネジーサプライ」(本社・神奈川県相模原市)を設立している。自動車メーカーがリチウムイオン電池の量産に本腰を入れ始めているのだ。EV普及でもう一つの課題とされるのが、充電インフラの整備だ。電気は水素などと異なり、すでに全国に送電網が張り巡らされており、基本的なインフラは整っていると言える。しかし、急速充電器などのインフラ整備は、まだまだこれからだ。「i MiEV」や 富士重工業の「スバルR1e」などは、電力会社と共同で研究が進められてきたため、東京電力などの営業所にはすでに急速充電器が設置されている。今後は、その急速充電器を一般ユーザーも使えるように開放する予定だ。「i MiEV」をはじめとするEVのほとんどは、家庭用電源からの充電も可能なため、例えばコインパーキングやショッピングモールなどの駐車場でも、電源さえあれば充電できる。「充電にかかる電気代そのものは高くない。関東の電力価格は昼間の家庭用でも1kW時で22円。『i MiEV』のバッテリーを空の状態から満充電にしても500円程度ですむ。ショッピングモールなどで買い物をすれば充電料金が無料になるように、サービスとして提供することも可能な金額だと思う」(吉名マネージャー)。東京電力でも、コインパーキングなどで充電を行った場合の課金システムなどを検討しているという。電源のコンセント自体は、あらゆる場所に整備されているだけに、その運用システムさえ整えば、充電インフラの整備は一気に進む可能性もある。そうなれば、EVの時代は予想よりも早く訪れるかもしれない。
トヨタはプラグイン・ハイブリッド車の製品化急ぐ
トヨタが実証実験中のプラグイン・ハイブリッド車。実験はニッケル水素電池で行われているが、リチウムイオン電池が導入されれば、さらなる性能向上が期待できる(写真提供・トヨタ自動車) ハイブリッド車に充電用プラグを装備し、充電した電力のみで走れるEVのメリットをプラスしたのがプラグイン・ハイブリッド車だ。現在、トヨタが実証実験を行っているプラグイン・ハイブリッド車は、外部電源から充電可能なプラグを搭載し、電力のみで約13kmの走行が可能。搭載されているのはプリウスと同じニッケル水素電池でリチウムイオン電池ではないが、トヨタでは2010年までに、リチウムイオン電池を搭載したプラグイン・ハイブリッド車を、日米欧で自治体や電力・石油会社などの大口顧客向けに販売することを発表している。
■長距離の走行においては液体燃料が優位

エネルギー密度を比較した場合、電池やガス燃料に比べて液体燃料が勝っており、長距離走行などで優位とされる(出所:トヨタ自動車)
ハイブリッド車を環境対策の「コア技術」と位置づけるトヨタだが、過去にはEV開発も行っていた。しかし、航続距離やコスト、充電インフラなどの問題から、バッテリーなどの抜本的な革新がない限り、当面はEVの用途は近距離コミューターに限られると見ている。現在、実証実験などを行っているEVは、すべて軽自動車クラスの車体を使ったものだが、トヨタ本体では軽自動車をつくっていないこともあり、現時点ではEV開発をあまり重視していないようだ。理由の一つは、ガソリンをはじめとする液体燃料のエネルギー密度が、ガス燃料やリチウムイオンを含めた電池よりも圧倒的に勝っているということがある。連続して数百kmを移動する場合、自動車を動かすエネルギー源として液体燃料の優位性は今後も続くというのがトヨタの見方だ。そのためトヨタでは、液体燃料でありながらCO2排出量の低減に貢献できるバイオエタノール、それも食料と競合しないセルロース系のエタノール製造技術の開発に力を入れており、新日本石油と共同開発も行っている。EVに関連して、グローバルに展開するトヨタが気にするもう一つの点は、国によって異なる電力事情だ。発電効率の優れた日本であれば、電気を使って自動車を走らせることはCO2削減につながるが、石炭を使って発電を行い、発電効率もそれほど高くない国や地域の場合、EVよりもガソリンを使ったハイブリッド車のほうがCO2排出が少ないこともありうる。地域に応じた車種を投入するという「適時・適地・適車」の考え方をもつトヨタにとって、EVは必ずしも万能のエコカーではないのだ。次世代の主役左右する周辺技術、インフラ整備 充電インフラについても、現状のEVでは急速充電器を使っても80%まで充電するのに15~30分の時間がかかる。ガソリンスタンドでの給油時間と比較すると、これはまだ、かなり長時間に感じられる。EVの台数が少ないうちならともかく、普及が進めば充電スタンドが混雑することは想像に難くない。そうなると、よほど急速充電が可能なバッテリーが実用化されない限りは、充電は自宅で行うのが一般的な使い方となりそうだ。集合住宅に住み、近くの月極駐車場を利用することの多い都市部では、自宅での充電という行為も実は簡単ではない。電源自体は駐車場に備わっていることも多いが、そこから、誰がどれだけ充電を行ったのかわかるようなシステムがなければ、気軽に誰でも充電できるというわけにはいかない。
トヨタが実証実験中のプラグイン・ハイブリッド車は、一般家庭用の100V電源や200V電源からの充電が可能(写真提供・トヨタ自動車) だが、自宅での充電が可能であれば、電気だけで走行ができ、電気を使い切れば通常のハイブリッド車として走れるプラグイン・ハイブリッド車は確かに魅力的だ。しかも、通常のハイブリッド車に充電用のプラグを設け、バッテリーを多めに積むだけなので技術的に難しいことはない。実際に米国などでは、ハイブリッド車の「プリウス」をプラグイン・ハイブリッド車に改造するキットなども売られているらしい。現在、日米欧で実施されている実証実験に用いられているプラグイン・ハイブリッド車も、プリウスに充電装置を装備し、2台分のニッケル水素電池を積んだものだ。実証実験で主に調査しているのは、どれだけのバッテリーを積むのが適切かということ。電気だけで走行距離を延ばそうとすると、バッテリーをたくさん積むことになるが、それではコストや車重がかさんでしまう。日常的にそれほどの距離を走らないユーザーにとってはメリットが少ない。個々のユーザーの使用状況が異なるため、適切なバッテリーの量を割り出すのは簡単なことではない。将来的には、同じ車種でも排気量やグレードが異なるモデルが存在するように、用途に応じて搭載するバッテリーの容量が異なるモデルを用意することも考えられる。そのあたりのコストとのバランスをいかに取るかが、プラグイン・ハイブリッド車普及の課題といえそうだ。一方、リチウムイオン電池を搭載したプラグイン・ハイブリッド車の普及は、EVにとってもメリットがある。リチウムイオン電池が量産されるようになれば、コストが安くなる効果が望めるからだ。リチウムイオン電池のさらなる改良や、まったく新しい次世代の二次電池の開発が進むことも期待できる。現在のガソリン車やハイブリッド車から、プラグイン・ハイブリッド車、そしてEVへとバトンを渡していくことができれば理想的だ。燃料電池車、EV、プラグイン・ハイブリッド車は、それぞれが開発途上。個々に課題は残るものの、自動車としてはすでに形になっている技術である。あとは、水素燃料の供給インフラや急速充電設備、バッテリーなどの周辺技術の進化がどのように進むか。自動車以外の技術の進化がどのように進むかも、次世代の主役を決めるうえで大きなカギとなりそうだ。


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2008/08/28

Citroen社の新型「C5」、電動のパーキングブレーキやテールゲートを採用


図1◎電動パーキングブレーキの手動スイッチはセンターコンソールにある(赤く光っているスイッチ)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080827/157033/
2008/08/27 19:11
10月1日から販売するCitroen社「C5」の国内導入モデルは、電動パーキングブレーキやヒルスタートアシスト機構、電動テールゲートなど利便性の高い装備を採用した。

 C5はアッパーミドルセグメントでのシェア獲得を目指して装備の充実により利便性も高めた。電動パーキングブレーキはすでにドイツVolkswagen社の「パサート」や同Audi社の「A4」などで採用されているがC5もほぼ同様の機能を持つ。エンジンを止めると自動的にパーキングブレーキが作動し、エンジンを始動してアクセルを踏むとブレーキを解除する。坂道における発進時に後ろに下がらないためのヒルスタートアシスト機能も装備する。勾配が3%を超える場合、ブレーキペダルから足を離した後も2秒間停止状態を保つ。

 ワゴンモデルとなる「ツアラー」では、電動テールゲートと荷室からリアの車高を調整できる機能を標準装備した。電動テールゲートは障害物に当たったときに自動的に停止する機能付きで、テールゲートの上がる高さを任意に設定できるほか、キーレスエントリーでも操作可能。テールゲートを閉める際は、ゲートの右上にあるボタンを押せばよい。荷室からリアの車高を調整できる機能は、荷室側面右側にあるスイッチによって操作する。最大120mm車高を上下でき、荷物の積み降ろしが容易となる。

 このほか快適装備では3.0Lモデルの運転席にシートヒータとリラクゼーション機能を設けた。リラクゼーション機能はトヨタ自動車の「レクサスLS」の後席に設定されているが、運転席に設けたのは珍しい。背もたれの一部を前後に動かすことなどで運転時の疲労を抑える。



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2008/08/27

大変革期に入った自動車業界:IBM研が近未来を予測


http://wiredvision.jp/news/200808/2008082623.html
Chuck Squatriglia
Photo Credit: Nissan

2020年までには、すべての新車がある程度のハイブリッド技術を備えている。そしてバッテリー技術は普及し、自動車はほかの自動車や道路と通信を行なって、ドライビングはより安全で簡単なものになっている――。

これは、米IBM社の研究所、IBMビジネス・バリュー・インスティテュート(IBV)が発表したレポート『Automotive 2020: Clarity Beyond the Chaos』(2020年の自動車:混沌の先の明確さ)に描かれている未来図だ。

15ヵ国125人の自動車業界幹部とのインタビューを基にした同レポートによると、自動車業界は現在、環境的な持続可能性と技術革新を最優先事項とする大きな変わり目の時期にあり、自動車メーカーは今後、性能や快適性、信頼性を犠牲にせず、なおかつより効率的な自動車を求める消費者の需要に応えていくことになるという。

ヨーロッパのある自動車メーカー幹部(レポートで発言している人物はすべて匿名扱い)は、次のように述べている。「次の10年は、過去50年を上回る変革を経験することになるだろう」

その変革はすでに始まっている。

自動車メーカー、政策立案者、および環境問題専門家の間では、自動車の電化は不可避ということで意見が一致しつつあり、大手自動車メーカーのほとんどがハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車開発を行なっている

現在、こうした車が市場に占める割合は3%以下に過ぎないが、IBM社のレポートは「2020年以降、製造されるすべての自動車に、ある程度のハイブリッド化が認められるようになる」と予測している。

ずいぶんと大胆な予測に聞こえるかもしれないが、ガソリンと電気のハイブリッド車に対する関心は急激に高まっており、このレポート以外にも、2013年までには年間販売台数が200万台に到達し、市場に89種ものハイブリッドモデルが出回るという予測もある[Newsweekの記事が引用している予測で、現行モデル数は16]。

IBM社のレポートによると、バッテリー技術は今後12年以内に広く普及し、自動車メーカーとその部品製造業者は、研究開発の大半を、自動車にバッテリーを組み込むためのソフトウェアと電子工学に集中させることになるという。

レポートはこれについて、ある米国人幹部の「エネルギーの貯蔵は、次世代の燃費向上に対する取り組みの焦点となるだろう」という発言を紹介している。実際、日産とRenaultが提携するBetter PLC社が、数年以内に米国などで電気自動車のインフラ整備を行ない電気自動車の販売を開始することになっており[Better PLC社についての日本語版記事はこちら]、三菱自動車も、2008年中にカリフォルニア州で電気自動車[『i MiEV』]の走行試験を開始する。

ただし、同レポートはバッテリーのコストについて、これを採用した車の全体的コストに占める割合が10〜15%にものぼると推測しており、コストの問題は今後も電気自動車の市場での急拡大を阻む大きな障害として残るだろう。

また、バイオ燃料への投資は今後も続くが、この技術が「世界的に採用され浸透するには、急速な進化を遂げることが必要だ」という。同レポートは、トウモロコシなどの食用作物を原料としたエタノールはすでに行き詰まりの感があるが、セルロース由来のエタノール(日本語版記事)は「幅広い支持を得られる可能性がある」と指摘している。

また、従来の化石燃料は、2020年には市場の65%を占めるにとどまり、自動車の二酸化炭素排出量は、1キロメートルあたり平均97グラムにまで減少するという。これはトヨタ自動車の『プリウス』現行モデルの排出量を7グラム下回る数字だ。

水素についてはもう少し待たねばならない。レポートは、「水素燃料電池を搭載した自動車は、今後も現実的な代替技術であり続けるだろう」と結論付けているが、楽観的な人たちでさえ、2020年の自動車市場で水素がほんのわずか以上の割合を占めているとは予想していない。水素を生成し、輸送し、販売するために必要なインフラが近い将来整備されると考えている人はほとんどいない。

この先、自動車電子工学の分野で技術革新が起こる分だけ、われわれの自動車は賢くなり、できることが増えていくのだろう。すでにインターネット対応自動車の時代は幕を開けており、独BMW社、米Chrysler社などは先を争ってダッシュボードにネット接続機能を組み込もうとしているし、スウェーデンのVolvo社などは、[レーダーやソナーなどの技術を使って事故を防ぎ、事故の際には自動車自身が回避行動を取る]事故防止システムを開発している。

レポートによると、2020年には自動車はほかの自動車と通信することで事故を防ぎ、道路と通信して随時変化する交通状況に対応し、さらには遠隔測定により問題の診断と修理を行なうようになるという。

自動車は今後、バッテリーと先進的な電子装置への依存度を急速に高め、自動車メーカーは家電業界、通信業界、エネルギー業界と協力することが必要になってくる、とレポートは主張している。

実は、この動きもすでに始まっている。自動車メーカー数社は米Microsoft社と共同で『Sync』の自社版の開発を進めており[Syncは、米Ford社がMicrosoft社と共同開発した車載通信・エンターテインメントシステム]、また日産自動車と日本電気(NEC)、トヨタ自動車と松下電器産業はそれぞれ、バッテリーの生産事業で提携している。

米General Motors(GM)社は、米国の配電網をプラグイン・ハイブリッド車と電気自動車に対応させるため34の電力会社と提携を結んだ[リリース]。こうした協力の例は、今後ますます増えていくだろう。

ある日本の業界幹部はこう語っている。「業界内だけですべての仕事ができる時代はもう終わった。何かを実現させるには、複数の外部組織との連携が必要だ」

[日本語版:ガリレオ-緒方 亮/高橋朋子]
WIRED NEWS 原文(English)








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2008/08/07

外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム稼動開始



http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/special/071207_idling-stop01/index.html
2007年12月7日
●高速道路のSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)で、トラックなどの大型車がアイドリングしながら列をなして停車している風景をよく見かける。
●排気ガスは臭いし、エンジン音もうるさい。ドライブの休憩がてら、すがすがしい空気を満喫しようにも、外に出る気も失せてしまうし、窓を開けることもできない…。
●そんなトラックのアイドリングをストップさせることができる「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」の運用がこのほど本格的に開始された。
●今回は、この「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」を前編・後編の2回にわたってリポートするとともに、同システムの開発に携わった東京電力 環境部 社会システムグループマネージャーの北村秀哉氏のインタビューもお届けしよう。
取材/土屋 泰一、ナッツコミュニケーション、文/ナッツコミュニケーション、
写真/新関 雅士
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●おいしいサンマを食べるためにアイドリングが必要な理由
「(車の)アイドリングは人体にも、環境にも悪い。止めてくれればいいのに……」。たいていの人はそう考えているに違いない。しかしことはそう単純ではない。トラック輸送は、私たちの生活や経済活動を支えるライフラインであり、アイドリングするトラックにもそれなりの事情があるからだ。 国内の貨物輸送におけるトラックの分担率を調べてみても、重量ベースで約90%(※1)、重量に輸送距離を乗じてその仕事量をあらわした単位であるトンキロベースという単位で見ても約60%(※1)にも及ぶ。

輸送機関別分担率(平成17年度、輸送トン数)

輸送機関別分担率(平成17年度、輸送トンキロ)
ネットショッピングで買い物をすれば、そのほとんどがトラックで輸送されるし、スーパーで買い物をする場合でも、刺身にしても食べられるような北海道産の新鮮なサンマを東京で食べられるのは、長距離トラックのおかげだと考えれば、分かりやすいだろう。特に長距離トラックの場合、渋滞を避け、できるだけはやく荷物を届けるために、夜間に移動するケースが多い。当然ドライバーは昼間に睡眠・休憩が必要となる(法的にも休憩や休息が義務づけられている)。停車中、窓を閉め切った状態で冷暖房を使用しなければ、夏場で運転室内の温度は60℃にも達するともいわれ、冬であれば寒くて休憩どころではない。運転室の温度管理は難しく、アイドリングによって冷暖房機器を使用しなければならないのが現状だ。「トラックの中にいなくても、休憩・宿泊施設を利用すればいいのでは?」という考えもある。確かにその通りだが、トラックが駐停車できる場所やスペースの絶対数は十分とはいえず、利用料金も安くはない。原油価格の高騰や過当競争などが続き、経営環境がますます厳しくなる運送業界では、こうした施設を利用するよりも、ドライバーが車内にいて休憩してもらう方が安上がりになったりする。さらに近年、サプライチェーンの高度化により、「ジャスト・イン・タイム」で荷物を相手先に届けることが求められるようになってきている。遅延した場合はペナルティとして罰金を取られるようなケースも少なくない。そのため、指定の搬入時間に合わせて、移動時間の“読める”場所で待機することも多く、一般道だけでなく、駐車しやすいSAやPAでアイドリングをしながら待機するケースも少なくないという。このような状況で、仮に数人だけがアイドリングを止めたとしても、他の大多数のトラックがアイドリングを行っていれば、窓を開けて休憩するのも難しいだろう。
※1:社団法人全日本トラック協会『日本のトラック輸送産業2007』(2007年9月発行)より
●トラックがアイドリングを止めれば、約14万世帯が排出するのと同等量のCO2を削減できる
では、このようなトラックによるアイドリングの実態と、二酸化炭素(CO2)排出への影響をみてみよう。全日本トラック協会のアンケート調査(※2)によれば、約半数のトラックが1日2時間以上、仮眠や荷待ちのために停車をしているという。全国の大型トラック約74万台のうち、物流の主役である営業用貨物車は約53万台(※3)と推定されるので、営業用貨物車の半数にあたる約26万台が1日2時間アイドリングをしたと仮定した場合、CO2の排出量を計算(※4)すると、年間約79万トンものCO2が発生するということになる。

仮眠・荷待ち停車時間の実態
この数字を、2005年度における一般家庭一世帯あたりの年間のCO2排出量(約5.5トン:※5)と比較すると、約14万世帯分のCO2排出量にも相当することになる。このような大量のCO2排出を削減するためには、アイドリング以外の電力供給方法でトラック車内の冷暖房を稼働させる必要がある。しかし現状、車内の冷暖房装置はエンジンが駆動していることを前提に設計されており、単純に外部から電源を供給できるような仕組みにはなっていない。そこで東京電力と日野自動車は共同で、駐車中のトラックの空調のために外部から電力を供給する「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」(以下、給電システムと略)を開発した。「2005年8月から2006年10月まで実証試験を行い、2007年10月より本格運用を開始しました」と、給電システムの開発に携わった東京電力 環境部 社会システムグループマネージャーの北村秀哉氏は説明する。
※2:全日本トラック協会、平成16年9月調べ(対象:貨物輸送トラックのドライバー約6500名)
※3:営業用大型貨物車:53万台(「諸分類別 自動車保有車両数」財団法人 自動車検査登録協力会編 2005年3月末現在)
※4:大型トラックの燃料消費量=1.56L/h(代表的な数値として環境省ホームページより引用
※5:国立環境研究所 地球環境研究センター温室効果ガスインベントリオフィス「温室効果ガス排出量・吸気量データベース」より
●外部から供給することで地球温暖化や大気汚染の防止に役立つ給電システム
まずは給電システムの全体像を紹介しよう。トラックには、車両のエアコンとは独立した「外部電源式パッケージクーラー(単相交流200V)」を運転席上部に、車内暖房機器用の「単相交流100Vコンセント」を車内にオプション装備で後付けする。そのため、装置は新車だけでなく、既販車にも後付けすることが可能となっている。

給電システムの概要
日野自動車が新たに開発した今回のパッケージクーラーには、暖房機能は付いておらず、暖房には別途追加したコンセントに蓄熱マットや電気毛布などを接続して使用する。冷暖房装置の車両装着費用(本体価格+取り付け費用+備品等)は、国補助後の標準価格で約50万円。「全日本トラック協会や各都道府県のトラック協会からの補助を受けることで、実質は30万円台まで下がる」(北村氏)と言う。暖房装置だけの装着であれば、約8万6000円で済む。これらの装置に、東京電力が開発した給電スタンドからケーブルを通じて直接電力を供給することで、エンジンをストップしたままで、空調装置を利用できる。給電スタンドを利用する際には、ICチップを搭載した認証カードを使用。利用時間などの情報は東京電力が管理するサーバーで自動的に集計され、後日、指定の口座から利用料金が自動引き落としとなる。

利用者認証カードと給電スタンドの利用イメージ
給電スタンドの利用料金は1分毎に課金され、1時間あたり72円(税込み)となるが、2008年3月までのキャンペーン期間中の利用料金は43.2円(税込み)となっている。「給電システムをご利用いただければ、トラックの駐車中に長時間のアイドリングをせずに済みます。燃料を消費しないのでコストダウンが期待できると同時に、地球温暖化や大気汚染の防止にも貢献できます」と北村氏は語る。
●98%のCO2排出量削減効果をもたらすとの試算も
では、給電システムによって実際どのくらいのCO2排出量と利用コストの削減が期待できるのか。実証試験の結果を踏まえた東京電力による試算を紹介しよう。CO2の削減量について。軽油のCO2排出係数(※6)からアイドリング時のCO2発生量を計算すると、1時間あたりのCO2を発生量は4.09kg(※7)となる。一方、実証試験期間の電力消費量の平均値0.22kWh(電力消費量/接続時間)と一般電気事業者10社のCO2排出係数(※7)から、給電システム利用時のCO2発生量を計算すると、1時間あたりのCO2を発生量はわずか0.09kgとなり、これらを比較すると、98%ものCO2排出量の削減効果が見込めることになる。次にコスト試算を見てみよう。軽油の単価を120円/Lとした場合、大型トラックのアイドリングによる1時間のコストは約187円。これに対して給電システムの利用量は1時間あたり72円(税込み)となっているので、1時間あたりの差額は約110円となる(ただしこの計算には、冷暖房装置の購入費用と給電システムの認証カード1枚あたりの基本月額料金1050円は含まれていない)。このシミュレーションから、1日平均6時間、年間250日間アイドリングをストップしたと仮定すると、年間で約6トンのCO2排出量の削減と、17万円程度のコストダウンが期待できることになる。

大型トラック1台分のアイドリングストップ1時間あたりのCO2の削減効果とコストダウン効果
「原油価格の高騰が続き、運送事業者の大きな負担になっているといわれています。特に長距離を運行されている運送事業者さまには、無駄な軽油費を削減できる給電システムの導入には大きなメリットがあると思います。また、アイドリングストップによるCO2排出削減量は、毎月請求書と一緒にお知らせしますので、CO2削減量を把握でき、荷主へのPRや省エネ法対策にもご活用いただけます」(北村氏)。
※6:軽油のCO2排出係数=2.62[kg-CO2/L](環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」ver. 1.2:2007年2月公表より)
※7:一般電気事業者10社のCO2排出係数=0.425[kg-CO2/kWh](電気事業連合会「電気事業における環境行動計画」2006年9月22日公表より)
●SSや工場でも給電スタンドの設置が予定されている
しかし、給電スタンドの設置が増えなければ、給電システムの利用者も増加しない。この点について北村氏は、トラックの駐車場や待機場の環境改善、CO2排出削減量の把握による環境貢献のPR効果などといったメリットだけでなく、給電スタンドの設置がビジネスとして成立するようにすれば、地球温暖化対策の新たなビジネスモデルとして、給電システムの普及を加速できると考えている。「一般的な電力使用料金で計算すると、1時間あたりの純粋な電気代は約10円程度になると試算しています。ただし、給電スタンドを設置するための工事費といった初期コストや維持費を考え、72円という利用料を徴収する仕組みとしました。当然、東京電力以外の企業や団体が全費用を負担して給電スタンドを設置した場合、東京電力は、システムの通信費用などの管理費を頂くだけで、大半の残りはその企業や団体の粗利益となります」(北村氏)。2007年10月時点で東京電力は給電スタンドを計50基設置し、100台分の車両に給電できる体制を整えている。設置場所は、財団法人貨物自動車運送事業振興センターが建設・管理・運営し、主要国道沿いに整備されている40箇所のトラックステーションから、長時間駐車する車両が多い7地点を両者が協議して選定した。「さらに2007年度内に、東京電力所有の給電スタンドを20基から50基増設する予定です」と北村氏は言うが、まだ十分ではないということも認識している。

給油スタンドの設置箇所(2007年10月現在)
今後は試験設置も含め、高速道路のSAやPAをはじめ、ガソリンスタンドや民間の工場、物流センター、卸売市場、空港、港湾施設など、トラックが往来する場所に給電スタンドの設置を働きかけていく予定となっている。また、既に宇佐美鉱油が自社のSS(サービスステーション)の一部に導入することを決定しているほか、日東紡が自社の工場に給電スタンドを設置する予定だという。
●給電システム誕生の背景を探る・東京電力 北村秀哉氏インタビュー
電力を供給するのが電力会社の主要業務である。しかし、アイドリングストップ給電システムの本格運用を開始したばかりとはいえ、東京電力自らが電力スタンドを開発し、その運営までを行っている。なぜ東京電力はこのような積極的な姿勢で、給電システムに取り組んでいるのか。キーマンである北村秀哉氏に、その背景などについて話を聞いた。
――給電システムが誕生するきっかけは?
北村 氏(以下、敬称略):  4年ぐらい前になりますが、長時間のアイドリングを効果的に抑制する方法はないかということで、物流に伴う環境負荷の低減をめざす日野自動車さんと、環境性に優れた電力を提供している当社が共同できることはないだろうかという話になり、エンジンを停止した状態でも冷暖房機器を使用できる給電システムの開発に取り組むことになりました。当初は車内に搭載されている冷暖房装置を電力で動かせばいいと単純に考えたのですが、そのためにはトラックの基本設計を変更する必要があるなど、相当時間もかかりそうだということとなりました。結論として、冷房機器を運転室に後付けする方法が実現の可能性が高いということで、日野自動車さんの方で現在のようなシステム仕様とすることを決定されました。
――東京電力側では、給電スタンドの開発を担当したということでしょうか。
北村:  給電スタンドの開発はもちろん当社で担当しましたが、当社から冷房機の仕様に関して要望を出したり、逆に給電スタンドに対する要望を受けたりもしました。給電スタンドの開発におけるポイントは、安全性と使いやすさです。給電スタンドは屋外に設置されますので、雨が振っているときでも感電を防止するため、ケーブル差し込み口のカバーを閉じないと通電しない仕様にしました。また、ICを搭載した認証カードをかざすだけで、簡単に給電スタンドを利用できるようにし、料金は後払いということにしました。
――なぜ、そこまでして給電システムの開発・運営に取り組んでいるのでしょう?
北村:  当社では、環境負荷の低いエネルギーの供給に努める一方、利用者のみなさまにも省エネルギーにご協力いただくことで、需給双方の複合的な環境負荷の低減に取り組んできました。しかし、エネルギーを供給する側だけがCO2削減対策を実施するだけでは、もはや十分とはいえない時代となりました。これからはもっと利用者の視点に立って、環境負荷の高いエネルギーから環境負荷の低い電力エネルギーへと転換を促進させる仕掛けを実現していく必要があります。しかもそれは一過性でなく、継続的なものでなければなりません。そのような中、民生分野では、例えば「エコキュート」(高効率な家庭用電気給湯機)など、ご家庭でCO2と給湯代の削減を両立する良い機器が現れました。運輸交通分野においても、CO2を削減しているという実感、達成感のある良い方法はないかと考え、この給電システムが生まれました。
●15カ月間にわたる実証試験、アイドリング時より約97%のCO2抑制効果
2005年8月から2006年10月までの15カ月間──国土交通省と財団法人貨物自動車運送事業振興センターの協力を受け、東神トラックステーション(神奈川県大和市、駐車スペース:トレーラー21台/大型車74台/普通車22台収容)の駐車場に試験用(3台)の給電スタンドを設置し、大阪、奈良、福井の運送事業者3社のトラック計4台(大型車2台、中型車2台)が参加して、給電システムの実証試験が行われた。実験に参加したトラックはいずれも、トラックステーションを定期的に利用する長距離トラックである。
そして
(1)燃料削減量、二酸化炭素(CO2)排出削減量の検証
(2)利用電力量、設備利用率の確認
(3)冷暖房の使い勝手など実用面での課題抽出
など、実用化に向けて必要な実証データが採取された。「運転手さんが認証カードを忘れてしまったり、一部エアコンの効き目が十分でなかったりといった細かいトラブルはありましたが、概ね順調に約15カ月間の実証試験を終えることができました」と北村氏は説明する。結果としては、アイドリングストップ給電システムの“狙い通り”、駐車中アイドリングは全く不要となり、4台で約1万1300Lの燃料消費量を削減できたという。そして気になるCO2排出については、アイドリング時より約97%のCO2抑制効果が見込めることが確認された。

給電スタンドのイメージ図
●積極的な事業展開で急速に業績を伸ばす富士運輸
今回の実証試験に参加したのが、奈良県に本社を置く富士運輸である。従業員数約470人、約430台の車両を所有し(いずれも2007年11月時点)、東京、成田、中部国際空港、りんくう、福岡などに支店、営業所を展開する中堅クラスの運送会社である。富士運輸では、所有する全車両にGPS(全地球測位システム)による位置管理システムを搭載し、ホームページ上で荷主にその位置情報を公開するシステムを独自に開発したり、デジタルタコグラフやドライブレコーダーの導入など、積極的に事業を展開。グローバルに事業を展開する外資系の運送会社をはじめ、JP日本郵政グループ、エアカーゴといった業務を請け負い、競争が激化する運送業界において急速に業績を延ばしている注目の企業である。富士運輸ではアイドリングを防止するため、各拠点にドライバーが仮眠できる施設を設置したり、トラックの走行中に冷気を蓄積することでエンジン停止後も運転席に冷風を送ることができる「畜冷式リアクーラー」を一部の車両で既に導入するなど、ドライバーに快適性を提供するためにこれまでも積極的に取り組んできた。しかし、「費用や効果を考えると、これらの手法ですべてのエリアと車両をカバーできるわけではありません。例えば畜冷式リアクーラーにしても、冷房効果を得られるのは数時間程度。真夏などは3時間程度しか効果を得られないときもあります」と説明するのは、富士運輸の代表取締役 松岡弘晃氏だ。同社のこのような取り組みは業界の中で評判になっており、「東京電力さんから実証試験への協力要請をいただきました。給電システムは、アイドリングストップを推進する上で、現実的で効果的な方法だと思い、喜んで参加させていただきました」(松岡氏)。

富士運輸 代表取締役 松岡 弘晃 氏
●実証試験の終了後、正式に採用を決定・2008年度内に10台程まで対応車両を導入予定
富士運輸では、実証試験時に給電システムに対応した2台のトラック車両を定期的に運行させた。参加したドライバーは4~5人。就寝するときに振動や騒音がないため「ゆっくり休むことができる」と、どのドライバーからも評判は上々だという。中には休憩中に運転席でPCやDVDプレーヤーを使用するドライバーもいて、「電源が確保できるので助かる」という声も聞かれたという。ただし、搭載されている冷房機がオートエアコンでなくマニュアルエアコンなので、「温度調節のために手動で風量を調整するのが面倒」という声もあった

エアコンはマニュアル操作となっている
一方、コスト面ではどうか。実証試験では給電スタンドの利用料は課金されていないが、軽油の消費量から計算すると、富士運輸では1日千円程の軽油費用の削減効果が得られたという。これを月間の稼働日数20日として年間で計算すると、1台あたり年間約24万円の軽油コスト削減効果を見込める計算になる。さらに、トラックに余分な燃料を入れなくて済むので燃費も向上し、バッテリーやエンジンへの負荷も軽くなる。その波及効果は1台1台で見ると微々たるものかもしれないが、同社では1日当たり平均200台ものトラックが東名間を行き来しており、その積み重ねを考えると、効果はかなりのものとなる。仮に、1日千円のコスト削減ができるとして、50台のトラックがすべて給電システムを利用したとすれば、1日5万円が浮く計算だ。稼働日数20日間とすれば月100万円、年間で考えると1200万円ものコスト削減効果が見込めることとなる。ただし富士運輸では、一部の拠点に軽油給油施設を設けるなど、軽油をまとめて仕入れることで購入単価を抑えている。また、原油価格の高騰はしばらく続くと考えられているので、他の運送業者であれば削減費用はさらに大きなものになる可能性があるだろう。「初期費用の負担が大きいので、現状、コスト面でのメリットは限定的です。しかし環境面を考えれば、このアイドリングストップ給電システムの効果は絶大です。真夏や真冬に冷暖房のない車内で過ごすのはあまりにも過酷で、アイドリングストップは運送業界にとっては切実な問題でした。給電スタンドの場所や数など、課題もありますが、当社では今後も積極的に利用していきたいと考えています」と語る松岡氏。同社では、実証試験の終了後、正式に給電システムに対応した車両を導入し、2008年度内に10台程まで対応車両を増やす予定だという。
●運送業業者としてどう環境対策に取り組むか・富士運輸 松岡弘晃氏インタビュー
トラック販売の営業マンを経て、実家の運送業を継ぎ、自らもハンドルを握っていたことがあるという松岡氏。なぜ富士運輸では、このように積極的な姿勢で環境対策に取り組んでいるのか──詳しく話を聞いた。
――給電システムの本格稼働に合わせて、対応の車両の導入を早速決定されました。
松岡氏(以下、敬称略): 日々、大量の燃料を消費している運送業者として、環境対策は当然の義務です。当社では、環境負荷の少ない事業運営を推進するためのグリーン経営の取得やデジタルタコグラフの導入など、環境対策をこれまでも積極的に行ってきました。今回のアイドリングストップ給電システムの導入も、その一環と考えています。
――なぜそこまで積極的に取り組んでいるのでしょうか。
松岡氏:  競争が激化する中、「何でも、安く、速く、荷物を運ぶ」というスタイルでは、生き残っていくことはできません。当社では、積み荷の厳格な温度管理が求められる医薬品や半導体関連製品など、荷主の高度化するニーズに対応できる付加価値の高い輸送に特化することで、事業を成長させてきました。グリーン調達が常識化していく中で、環境対策も重要な付加価値の一つだと考えており、実際に荷主様からも評価をいただいています。具体的には、CSRに力を入れているグローバルに事業を展開する外資系運送会社様ともお取引させていただいています。そうした背景があるのです。
――環境対策を実施することで、従業員の意識変化などは見られますか?
松岡氏:  もちろん、環境を意識して働くという意識を植え付けることに役立っていると思いますが、実は環境対策は、人材確保──すなわちリクルーティングという面でも重要なファクターとなります。運送業、特に長距離運送というと、「トラック野郎」のようなイメージがまだ強く、排気ガスも臭くて、世間ではあまり評判が良くありません(笑)。事業を拡大させる上で、優秀な人材の確保は欠かせませんので、業務環境を整備したり、環境対策に積極的に取り組んでいたりというのは重要なアピールポイントになっています。
●冷暖房機器を設置するためのハードルをどれだけ下げられるかが今後の課題
実証試験でもその効果が証明され、本格運用が開始した今回の給電システムだが、いくつか課題も挙げられる。最大の課題は、何といっても運転席に後付けする冷暖房機器のコストの問題だ。システムの本格運用が開始されたばかりで、導入見込み数も不明なため、「量産体制が見込めないようで、製造コストを下げるのは難しいですね」(東京電力 環境部 社会システムグループマネージャー 北村秀哉氏)が現状だという。日野自動車のパンフレットを見ると、メーカー希望小売価格は、冷房装置と暖房用電源、取付工賃込みで89万円。2007年10月時点、特別価格によって48万円程で提供され、自治体などからの補助金でカバーしても、実質30万円以上の投資が必要となる。また補助金についても、「すぐに支払われるものと、年度末などにまとめて支払われるものがあります」(松岡氏)ということで、運送事業者はその期間、補助金相当額を自ら負担しなければならない場合がある。車体に関しても、今のところ制限がある。この後付けの冷房装置を取り付けられる車種が、エアデフレクター(運転席とその後ろのコンテナ間の段差で発生する空気抵抗を減らすための部品)付きの車両に限られているのだ。最近では運転席の後ろにあった横になれるスペースを、このエアデフレクターの部分へと移動し、屋根を高くすることで運転席の快適性を高めると同時に、より多くの積み荷を搭載できるようにした新しい車種が登場しており、このような車体には今回の冷房装置は取り付けることができない。現在この冷房装置が装着できるのは日野自動車の車体だけが対象となっており、他のメーカーの対応は来年以降になるといわれている。

左の車両は給電システムに対応した冷房機を取り付けられるが、右の車両は上部に休憩スペースを設けているので取り付けできない(写真のトラックに冷房機は取り付けられていない)
こうしたいくつかの課題の一方で、冷暖房機器の取り付けに関しては後付けでもスムーズに行えるよう、日野自動車は2007年9月10日から全国の販売会社41社での対応体制を整えた。これによって、運送事業者は最寄りの日野自動車の販売会社に車両を持ち込めばよい。現在、稼働中の車両であっても、取り付けのために長時間休止させず済む。確かに冷暖房機器の後付けにはそれなりの投資が必要だが、前編で紹介したように、試算通り、年間17万円ほどのコスト削減効果が見込まれ、2~3年で初期導入コストを回収できるのに加え、給電スタンド設置や取り付け体制などのインフラが整備されつつあることで、アイドリングストップ給電システム導入のハードルは下がる方向性にあるといってよいだろう。
●給電スタンドを設置したSSが国内初登場!・宇佐美グループ 縄田圭司氏インタビュー
国内の主要幹線道路に約450ものSS(サービスステーション:いわゆるガソリンスタンド)網を築く「宇佐見グループ」では、2007年12月11日、国内で初めて外部電源式アイドリングストップ給電システム用の「給電スタンド」を設置した。場所は、栃木県矢板市。国道4号線沿いに、この12月4日に新規オープンしたばかりの4号矢板SSである。今回のアイドリングストップ給電システムによって、トラックなど業務用車両のアイドリングがなくなるのは、二酸化炭素排出削減に寄与するだけでなく、現在の原油高騰の状況下にあっては経費削減の点でアイドリングストップは効果がある。しかし、その一方で経由を販売するSS側にとっては、業務用車両にアイドリングストップが普及すれば、その分、運送業者に購入してもらう軽油量も、多量ではないものの減少することは間違いなく、売上高も減る。ある意味、SSにとっては“ジレンマ”ともいえるだろう。では、なぜ宇佐美グループは、他社SSに先駆けて給電スタンドを自らのSSに設置することにしたのか。その狙いなどについて、東日本宇佐美 関東支店 取締役執行役員 支店長の縄田圭司氏に話を聞いた。
――――給電システムはアイドリングを防止するシステム、つまり御社の販売する燃料(軽油)が売れなくなるシステムともいえるわけですが、あえて給電スタンドの設置に取り組む理由はなんでしょうか。
縄田氏(以下、敬称略):  当社は日本の物流に貢献するグループとして、環境対策にもいち早く取り組んできました。例えば、地球に優しいクリーンで安全なエネルギーである「圧縮天然ガス」や「メタノール」にも対応できる「エコステーション」の建設なども、その一つです。今回の給電スタンドの設置も、そんな環境に配慮したサービスの一環ととらえていますし、周辺に住宅地などがあるSSにおける騒音対策や排気ガス対策としての効果も期待しています。また、シャワー施設や大型洗車設備を配備するなど、陸運に携わるドライバーのみなさまが、安全に、安心して休憩していただけるトラックステーションを提供するのも当社の重要な役目です。既に米国では、このような給電スタンドを設置したSSがあることは調査して分かっています。これからの新しいSSのあり方を模索する中、当社でもチャンスがあれば、このような設備の導入に取り組みたいと考えていました。
――今後の給電スタンドの設置予定を教えてください。
縄田氏(以下、敬称略):  今回の栃木県・矢坂を皮切りに、2007年内に千葉県・新港(名称は「第二湾岸千葉新港」)と兵庫県・滝野(名称は「175号線滝野社インター」)の2つのSSに、給電スタンドを設置します。来年以降もSSの新設やリニューアルに合わせて、給電スタンドの設置箇所を増やしていく予定です。
――SSを運営する立場から、アイドリングストップ給電システムの課題をどうお考えですが。
縄田氏(以下、敬称略):  インフラを提供する立場とすれば、やはり給電システムに対応したトラックの台数がどのぐらい増えるかが気になるところです。しかし、現在の社会情勢や環境に対する意識の高まりを考えれば、給電システムの普及はそう難しいことではないでしょう。今後も、東京電力さんや日野自動車さんと協力しながら、給電システムの普及を推し進めていきたいと思っています。
●新たな環境負荷削減のソリューションとして・普及が期待される
今後は、アイドリングストップ給電システム自体の認知や普及を促進するような活動も必要になる。まず、給電システムのネーミングだが、「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム」という正式名称は長い。東京電力の北村氏のインタビューでも出てきた「エコキュート」のような覚えやすいネーミングがあれば、「○●○●○●対応PA」や「○●○●○●対応駐車場」といった具合に、給電スタンドの設置をアピールしやすくなり、認知や理解も向上するのではないだろうか。幅広く認知させていくという点では、トラックの販売会社がオプション装備をあまり売りたがらないという“現場の事情”も実は見逃せない。というのも、トラック1台の価格は1000万円からそれ以上と、きわめて高価なものだ。そこに数十万円の余計なオプション製品を販売会社が薦めたところで、購入する運送事業者からは値引きやサービスの対象として見るケースが多い。このような現状を見ると、国土交通省や環境省といった関連省庁をはじめ、運送業界の各関連団体や地方自治体を巻き込んだコンソーシアムのような共同事業体を立ち上げ、運送業者や給電スタンドを設置する企業に具体的な支援や情報提供を行うことで、普及をよりいっそう促進するような手立ても必要となってくるだろう。既にアイドリング削減設備の導入が進む米国では、インターネットで利用できる電子地図により、トラック運転者がアイドリング削減設備のあるトラック駐車場を見つけやすくするような取り組みもなされており、今後、日本が見習うべき点も多い。「現状の給電システムは運転席の冷暖房を行うもので、積み荷の温度管理機器への給電を行うことはできません。搬送中に荷台の温度管理が必要な車両は、現状、気候や場所に関係なくアイドリングを止めることはできません。ニーズに応じて電源容量の大きな給電スタンドの提供も検討していきたいですね」と東京電力の北村氏は、今後の展望を語る。今回、紹介した給電システムは、アイドリングストップを実現することで、有害な排気ガスも騒音もなくなることにつながるのは間違いない。利用者はもちろん、その“姿”を見ている人たちも、その効果を実感でき、実際に大幅なCO2排出量削減効果も期待できる新たな環境負荷削減のソリューションとして、今後もその動向を見守る必要があるだろう。

東神ステーションにて、給電ステーションにケーブルを接続する様子


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進化するアイドリングストップ給電システム・運転席だけでない、ついに冷凍、冷蔵車両にも対応


駐車場などに設置された給電スタンドにケーブルを接続し、運転席や荷室の冷暖房装置を稼働させるアイストシステム。駐車中や待機中のアイドリングが不要となる。東京電力の試算によれば、燃料コストは約3分の1、二酸化炭素(CO2)排出量は98%もの削減効果が期待できるとされる

http://www.nikkeibp.co.jp/style/eco/report/080805_is/
2008年8月5日
●新鮮な魚やフルーツ、牛乳、生ケーキ、アイスクリーム……。日本各地の特産品や、これまではその場所に行かなければ味わうことができなかった名品が、今は簡単に入手できるようになった。
●入手手段は百貨店やスーパーなどに買いに行く、通販やテレビショッピングを使う、もちろんネット通販もそれに大いに役立っているが、いずれの商品もいくつかの倉庫やトラックを経由して運ばれてくる点は同じだ。新鮮さが売りものであるような商品、冷蔵・冷凍して輸送しなければならない商品は、産地から消費者の手に届くまでに必ず冷蔵・冷凍装置によって一定の温度に保つことが必要となる。
●そのため、冷蔵・冷凍の必要な荷物を運ぶトラックは、積み卸し作業中も、トラック運転手の休憩中も、冷蔵・冷凍機用の専用動力(ディーゼルエンジン)を切ることができず、否応なくアイドリングを行わなければならない。
●駐車中・待機中のトラックが、エンジンを停止したまま運転室内の冷暖房を利用できるようにする「外部電源式アイドリングストップ冷暖房システム(以下、アイストシステムと略)」──。その仕組みや本格運用後の様子は、これまでもリポート(前編、後編)などで紹介してきた。
●そんなアイストシステムが、運転席だけでなく荷室(冷凍室、冷蔵室)へも電力供給できる仕組みを実現し、札幌市民の“台所”である「札幌市中央卸売市場」(札幌市中央区)にこのほど初めて導入された。
●今回は、札幌市中央卸売市場におけるアイストシステム完成式の様子と、荷室への電力供給の仕組みなどをPhotoリポートで紹介すると共に、札幌市中央卸売市場の市場長である渡邊恵氏のインタビューもお届けする。また、札幌市中央卸売市場における給電スタンドの竣工にあわせて正式に発足した、アイストシステムの普及促進を目指す民間事業者による協働組織「アイスト倶楽部」についても紹介しよう。
取材/土屋 泰一、ナッツコミュニケーション
構成・文/ナッツコミュニケーション、土屋 泰一 写真/新関 雅士
●寒冷地初! 卸売市場初! 冷凍・冷蔵車用対応初!初物づくしのアイストシステムを札幌市中央卸売市場が導入
2008年6月10日、この時期の北海道とは思えないような蒸し暑さの中、札幌市中央卸売市場において、新しいアイドリングストップ給電システム(以下、アイストシステムと略)の竣工記念「完成式」が開催された。札幌市中央卸売市場では、このアイストシステムを導入することで、トラックの停車中に発生する騒音や排気ガスを削減すると共に、大幅な二酸化炭素(CO2)排出の削減効果を見込んでいる。水産・青果関係の、深夜からセリ開始まで待機している車両約60台のうち、約20台がアイストシステムを利用すると仮定した場合、試算では年間(350日)で約202トン(※1)、一般家庭に換算すると約38世帯分(※2)の年間排出量に相当するCO2を削減できる見込みだ。
※1 計算根拠は以下の通り。まず前提条件として、350日は休みでも市場にトラックが入ってくる実数。待機時間は平均4時間である。
冷蔵・冷凍機専用のサブディーゼルエンジンの燃費は平均で1.2リットル/時間で、CO2排出係数は2.62[kg-CO2/リットル]なので、1.2×2.62=3.144kg/時間となる。すると、3.144×4時間×350日で約4.4トンのCO2排出に相当する。次に、運転席の冷暖房に使うメーンディーゼルエンジンのアイドリング時における燃料消費量は1.56リットル/時間。CO2排出係数は上と同じく2.62[kg-CO2/リットル]とすると、1.56×2.62=4.0872kg/時間となる。年間では同様の計算で、4.0872×4時間×350日として、約5.72トンのCO2排出に相当する。これらを合計すると、1台のトラックあたり4.4+5.72=10.12トンとなる。20台では、10.12トン×20台=202.4トンものCO2をアイドリング時(待機時)に、年間で排出することになる
※2 1世帯あたりの年間CO2排出量を約5.277トンとして計算。出典:「日本の1990~2006年度の温室効果ガス排出量データ(2008.5.16発表)」(温室効果ガスインベントリオフィス)
●『黒煙ゼロ』を宣言!・環境へ配慮しながら高度化を図ってきた札幌市中央卸売市場
札幌市中央卸売市場は、1959年(昭和34年)に開設の認可を受けて以来、札幌市はもとより、北海道を代表する生鮮食料品の流通拠点として大きな役割を担ってきた。その後の施設の老朽化や構造的な混雑を抜本的に解消するため、1998年から順次、本移転を繰り返す“ローリング方式”で再整備を行い、2007年には全面的な建て替えを完了した。現在、年間45万トンにも及ぶ多種多様な水産物や青果物を取り扱っている。環境負荷の低減にも積極的に取り組んでおり、2007年12月には市場における『黒煙ゼロ』を宣言。市場とその周辺地域のより良好な環境を形成するため、様々な対策を実施している。一方、発起人である東京電力の環境部 社会システムグループマネージャー 北村秀哉氏は、「現在(2008年7月時点)、札幌市中央卸売市場で導入された6基を含め、日本全国17地点、77基の給電スタンドが設置されていますが、まだまだ認知度が低いと感じています。アイストシステムをより多くの関係者に知ってもらうためにも、アイスト倶楽部の活動を通じて、その存在をアピールしていきたいと思います」と意気込みを語った。今回、札幌市中央卸売市場におけるアイストシステムの稼働にあわせて、アイスト倶楽部の第一回会合が開催された。参加企業の代表者が一堂に会し、積極的な情報・意見交換が行われたという。アイスト倶楽部は今回の竣工式の約1カ月前の2008年5月15日に、東京電力が「アイスト倶楽部」の設立について発表している。そして札幌中央卸売市場の竣工式にあわせて正式に発足、本格的に活動を始めた。7月中旬には、壁新聞「アイスト通信」の2号を発行するなど、着々とその活動範囲を広げつつある。課題もある。現状、参加企業はまだ計24社なので、今後さらに参加企業を広げていかないとアイストの効果を幅広く知らせて活用し、実際にメリットが明らかになってくるのまで時間がかかると見られる。しかし、国や自治体の主導ではなく、業種や企業の枠を超えて民間企業が集い、環境負荷削減と経済活動の両立を実現していこうという試みは、大変有意義だ。正式発足から約1カ月を経過した2008年7月、財団法人運輸低公害普及機構、社団法人 全日本トラック協会、社団法人 日本物流団体連合会が同倶楽部の後援団体となり、協力を得られることとなった。今後も、アイストシステムとアイスト倶楽部の動向に注目していきたい。


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