米アイオクサス、パワーシステムのキャパシター生産をNYに移管
米アイオクサス(マーク・マクギューCEO)は、買収したパワーシステム(滋賀県草津市)のキャパシター(蓄電池)セル生産ラインをニューヨーク州オニオンタの本社工場に移管する。パワーシステムはモジュール組み立てに特化する。グループでの生産効率向上が狙い。日本ではパワーシステムのパウチ型に加え、2012年度内に米国製の円筒型の電気二重層キャパシターなどを投入。自動車のエンジン始動補助用キャパシターなどを提案する。アイオクサスはオムロンと三井物産が出資していたパワーシステムを2月に買収し、パウチ型キャパシターの技術と、国内の販売網を入手した。キャパシターセルラインの米国移管で、米国と日本での最適生産体制を構築する。また2年後をめどに工場移転も視野に入れており、京都市周辺を候補地とする。パワーシステムの販売網を活用し国内で自動車向けのほか、物流機器、風力発電、無停電電源装置(UPS)などに米国製の円筒型キャパシターも拡販する。アイオクサスは07年に起業し、11年7月に量産工場を立ち上げた。北米をはじめ中国、台湾、欧州に販売拠点があり、出資者には米ゼネラル・エレクトリックや仏シュナイダーエレクトリック、仏アルストム、米コノコフィリップスなどの大手企業が名を連ねる。パワーシステム買収を踏まえ15年度にグループの売上高50億円を狙うとしている。
【マーク・マクギューCEOに聞く「販売網生かし車向け狙う」】
―パワーシステム買収の目的は。
「パウチ型キャパシターを含む同社の技術力と日本における販売拠点の獲得にある。岡村廸夫氏の開発した高容量キャパシター技術やアイデアは今後も発展性があると考えている」
―日本での展開は。
「車載を狙いたい。日本には自動車のトップメーカーが多く集積する。エネルギー密度とパワー密度で他社に負けない製品を提供できる。国内の自動車関連展示会に積極的に出展していく」
―技術の強みは。
「カーボンや電解液など材料ノウハウ、小型化するためのパッケージ技術が特徴。パワーシステムとの相乗効果で商品ラインアップも幅を広げることができた」
―日本の材料メーカーとの取引は。
「有力化学メーカーも数多い。これまでも自社製品にいくつか採用しているが、(日本に拠点を設置したことで)今後は増えていくだろう」
(小林広幸)
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