太陽光発電パネルを装備した電気推進旅客船の開発を進める「クリーンエナジーシップ実行化研究会」は二十一日、佐世保市のハウステンボス(HTB)で実験船を使った実証試験を始めた。軽油などの化石燃料を使
わず二酸化炭素(CO2)を排出しないのが特徴で、二、三年後の実用化を目指す。 同研究会はHTB、前畑造船所、長菱制御システム、長崎総合科学大、させぼパールシー、安田産業汽船、県工業技術センターの産学官で組織。二〇〇七年度から事業を開始。同年度の事業費二千万円のうち千五百万円を県産炭地域活性化基金が支援している。 実験船はHTB内の運河を航行するカナルクルーザー(全長約十四メートル、十三トン)を改造。従来のディーゼルエンジンに替え電動モーターを搭載。船の屋根に載せた十二枚の太陽光パネルが動力源となる。 カナルクルーザーは現在二十三隻運航。一隻当たり年間約二万三千百リットル(約二百十三万円)の軽油を消費、五五・四トンのCO2を排出している。実験船が実用化されれば、年間約千二百七十五トンのCO2削減が見込めるという。 〇八年度には同パネルを約七十枚に増やす方針で、ハウステンボス港を拠点に実証試験を重ね、実用化に向けたデータを集める。 現在実験船に使用しているのは鉛蓄電池。発案者でコンセプトデザインなどを手掛けている長崎総合科学大船舶工学科の中尾浩一准教授は「実用化の鍵は鉛蓄電池に替わるリチウムイオンバッテリーの開発」と指摘。同バッテリーは鉛蓄電池の約五分の一の重量でメンテナンスも不要。電気自動車の研究が進む中、同バッテリーの開発も進んでいるという。 国は昨秋、HTBを太陽光発電などの新エネルギーを普及するための「次世代エネルギーパーク」に認定。県はこれを受け「長崎次世代エネルギーパーク構想」を掲げており、今回の電気推進旅客船の開発はその一環。
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20080322/11.shtml
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