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2018/11/21

東電・伊藤忠、蓄電池プラン 太陽光買い取り終了にらむ

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36858220U8A021C1000000/?n_cid=SPTMG002


東電・伊藤忠、蓄電池プラン 太陽光買い取り終了にらむ 

環境エネ・素材
2018/10/24 15:24
東京電力ホールディングス(HD)は24日、2019年からの再生可能エネルギーの買い取り制度の期限切れをにらんだ電力プランを11月に始めると発表した。蓄電池の利用を前提とした家庭用プランは大手電力としては初めて。人工知能(AI)で需給を予想し、発電所の電力も組み合わせることで電気代を減らす。23年までに期限切れを迎える約160万世帯を巡る争奪戦が激しくなってきた。
伊藤忠が販売する家庭向けの蓄電池
伊藤忠が販売する家庭向けの蓄電池

■AIで需要予測し蓄電

東電HD傘下の電力小売会社「TRENDE(トレンディ)」が提供するプランは太陽光発電パネルを設置している東北から九州までの家庭が対象となる。目玉は伊藤忠が11月から始めるAIを使った電気代の最適化サービスだ。
天候や曜日などから家庭の電力消費量と太陽光パネルの発電量を予測する。例えば翌日に雨天が予想されるときは発電所が夜間に発電する電力を蓄電池にためておく。太陽光による自家発電と割安な夜間電力を組み合わせることで、4人家族の一般的な世帯で月1500円ほど電気代を削減できる見込み。蓄電池の導入費用と電力料金とは別にAIを使ったサービスの利用料が月1200円かかる。
伊藤忠は蓄電池向けの化学品や部材などを取り扱う流通網を生かして14年から蓄電池の販売を手がけている。取り扱う「スマートスター L」の価格は285万円(税別、工事費別)と高価だが、災害への備えに関心の高い消費者を中心に国内で1万台の販売実績がある。蓄電池を有効活用する料金プランと組み合わせることで販売を伸ばしたい考えだ。

■「FIT切れ」需要、各社が狙う

新プラン投入の背景には、太陽光パネル普及のために国が導入してきた再生エネの固定価格買い取り制度(FIT)が19年11月から徐々に終了していくことがある。余った電気を高く買ってもらえる10年間の期限が切れ始め、19年内には約50万世帯、23年までに160万世帯が電力の売り先を失う恐れがある。約700万キロワットと大型の原子力発電所7基分の電力が宙に浮くことになる。
「FIT切れ」や「2019年問題」ともいわれるこの問題は新たな商機にもなる。既に京セラなどのメーカーが蓄電池の拡販に動くほか、電力小売り全面自由化で顧客獲得を競う新電力も他の大手電力がFIT切れ家庭を取り込もうと動いている。
中部電力は7月、FITが切れた家庭から太陽光の電力を買い取る方針を出した。中部電は太陽光発電で実績のある新電力のLooop(ループ、東京・台東)に9月に出資しており、FIT切れ太陽光の買い取りで連携を見据える。TOKAIホールディングスも新電力のみんな電力(東京・世田谷)と新会社を19年4月に設立し、余った太陽光発電の買い取りを始める。
約2000万世帯の契約を持つ東電HDだが、17年度の販売電力量は10年度比で18%減少した。4~6月期の連結経常利益は673億円と前年同期比117億円の増益。燃料費を料金回収する期ずれでの差益やコストダウンで増益となったが、販売電力量は依然として減少が続く厳しい状況だ。FIT切れの顧客を他の電力大手や新電力に奪われるわけにはいかない。

■分散型に布石

蓄電池は原子力発電所や火力発電所で発電し、送電網で送る中央集権的なビジネスモデルを分散型に変える電力業界の「破壊的イノベーション」の中核をなす。そのため「大手電力は蓄電池事業は積極的にできないのでは」(新電力関係者)との声もあった。
ただ、今回の新たな電力プランではあえて蓄電池の導入を促す。電力販売量が減少したとしても、顧客とのつながりを失うことを避けたいとの思惑が見える。
今回のプランを入り口に、電力会社の事業モデルチェンジも見据える。
伊藤忠が販売する蓄電池には通信機能が内蔵されており、電気をためたり出力したりの遠隔操作が可能だ。大量の蓄電池を群制御することで1つの大型発電所のように運用できる仮想発電所(VPP)にも活用できる。将来的に家庭間で電力取引ができる「ピア・ツー・ピア(PtoP)」と呼ばれる仕組みが動き出せば、家庭にとってさらなる副収入にもつながる。
東電HDの小早川智明社長は「分散電源化などの変化に備え、事業を切り替えていく必要がある」と言う。次世代型の電力システムでは発電所や家庭、企業などの需給データから全体を制御する「アグリゲーター(節電仲介業者)」が主導権を握るといわれており、今のうちからノウハウを蓄積しておく必要がある。
東電は福島第1原発事故の処理で16兆円の費用が必要になる。次世代の電力システムを主導できるかは、今後の経営再建や事故処理の行方を左右する可能性もある。(大平祐嗣、福本裕貴)

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