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2008/08/22

誰もが電気自動車に乗れる社会を作りたい


http://www.nec.co.jp/ucc/html/archives/2008/07/entry021.html?cid=PJ072wis142008年7月28日Nスピリッツ 第18回
~先端技術の裏にはNEC社員のイノベーションに対する熱い想いがみなぎっている~
 シリーズ「Nスピリッツ」は先端技術や最新システムの開発の裏側で、それに携わるNEC社員一人ひとりの「想い」を描いた物語である。第18回目の「Nスピリッツ」で紹介するのは2007年4月に日産自動車とNECグループの折半出資会社として設立されたオートモーティブエナジーサプライ株式会社・製造部マネージャで電気自動車用リチウムイオン二次電池の生産技術開発を担当する野田 俊治(のだ しゅんじ)。電気自動車用リチウムイオン二次電池の『自動車に要求される高い品質の確保』と『電気自動車普及に向けた低コスト化』に取組む。「自分たちの給料で買え、当たり前のように電気自動車に乗れる社会を作りたい」と将来の夢を語る、野田の自動車用リチウムイオン二次電池事業化に対する熱い想いを聞いてみた。
■情報のストレージ技術からエネルギーのストレージ技術へ転身
 野田は大学時代、NEC中央研究所と磁気ディスクのヘッド浮上量変動計測の共同研究を行ってきた。その関係で、ストレージ関連の仕事に携わりたいと考え、NECへ就職。研究よりも商品を開発して世の中に出していきたいという思いが伝わり、光ディスク開発本部へ配属され、設計開発業務を担当した。また、 20代後半から30代半ば過ぎまで、コンピュータやサーバ用光ディスクと磁気ディスクなどのストレージ開発、半導体の微細加工技術を駆使した微小な部品から構成されるマイクロマシン(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)光スイッチの研究、液晶関連のSOG(システム・オン・グラス)液晶ドライバの実装技術研究と多岐にわたり、様々な研究開発業務を経験してきた。その後、NEC社内の人材公募を利用し、情報のストレージ技術から現在のエネルギーのストレージ技術である電気自動車用リチウムイオン電池の開発に転身した。
--情報のストレージ技術からエネルギーのストレージ技術へ転身したきっかけは?
野田: 物を開発して世の中にその商品を出したいというのが自分の希望でした。研究所の仕事もクリエイティブであって面白いのですが、世の中に対するインパクトがもっと欲しいという気持ちもありました。そして、その思いに引き寄せられるかのように、タイミングよく、磁気ディスク開発に携わっていた頃の先輩から「電池をやらないか」と誘いを受け、それが縁で、NEC社内の人材公募を利用し、今の仕事に移ったのです。私にとって電池というのは初めての分野で、年齢も30歳後半ということもあって、全く不安がなかったわけではありません。しかし、今までも多種多様な事を経験してきたこともあって、新しいことにチャレンジしていく気概を持っていました。ですから、仕事に対する難しさということよりも、担当した電池が自動車に載って走ったらすごいという成果のイメージの方が先にあり、ぜひそれをやりたいという想いの方が大きかったですね。つまり、商品とか成果が、お客様との接点が近い仕事をしたいという気持ちと一致する新しいチャレンジだと思いました。
■「守備範囲を決めすぎるな」、高い品質確保と普及に向けた低コスト化、量産立ち上げに取組む
 2002年5月20日にNECと富士重工業との合弁会社としてNECラミリオンエナジー株式会社が設立され、ハイブリッド自動車や電気自動車向けのリチウムイオン二次電池の開発を進めてきた。野田が人材公募で入った会社はこのNECラミリオンエナジーである。その後、2007年4月に日産とNECグループの折半出資会社としてオートモーティブエナジーサプライ株式会社が設立。2008年5月19日、NECおよびNECトーキンと日産自動車の合弁会社として新生オートモーティブエナジーサプライ株式会社がスタートした。
--今までの経験と自動車用電池では、全く世界が違うのではないでしょうか
野田: 確かにその通りです。自動車用となると、万が一不具合があれば人身に係わる重大な事故につながりかねません。つまり、初めから要求される品質レベルがこれまで携わってきた製品と全く違っていました。図面や実験で問題がないからOKであるという世界ではなく、それが大丈夫であることを証明できないと先に進めない。そういった難しさが今までとのギャップとして大きく感じました。ただ、NECラミリオンエナジーに移ってから改めて思うのですが、とても仲間に恵まれていると実感しています。NECグループにはこちらが困っていると何か助けてあげようという文化があります。私も入ってから慣れないこともありましたが、他のグループの人に助けてもらった覚えがあります。私もよく言うのですが、「守備範囲を決めすぎるな」と。助け合いではないのですが、困っている人の所に助けに行くと言うことは、それだけ知見が広がります。ところが、自分がここまでと自らの守備範囲を決めてしまうと、技術が限られてしまう。なるべく守備範囲を広くしたいと思っています。特に電池は、電気化学という特殊な分野です。今まで担当していた  機械技術の常識では説明できないことが多々あります。そういった時に、自分はここまでと切ってしまうと先に進めない。化学をやってきた人の常識というものを一生懸命に吸収するということもすごく大事な姿勢だと思います。
--オートモーティブエナジーサプライでの役割について教えてください
野田: 大きく分けて3つあります。1つ目は、「自動車に合う高い品質の電池を作ること」、2つ目は電気自動車やハイブリッド自動車を低コストで作るという「電池の低コスト化技術の開発」、3つ目が2009年から量産工場を立ち上げることにしていますがその「量産工場に向けた準備」の3つになります。設計と製造を円滑に進めるための生産技術ということで、両方が分かる技術者として、それをまとめていきたいと思っています。その成果として、低コスト化と高品質化を導き出すこと、これが技術者としての役割だと思っています。我々が開発している高性能リチウムイオン二次電池には、大きく2つの特徴があります。1つ目の特徴は、正極材料にマンガンを使っていることです。他社のリチウムイオン電池は、ニッケルやコバルトを使っていますが、我々はマンガンを使うことで、熱的に安定で非常に安全性が高いという特徴があります。2つ目の特徴は、ラミネート構造です。他社の缶タイプと比較すると材料コストと製造コストを下げられるメリットがあります。また、平たい構造であることから放熱性が高く、急速充電が可能になります。今までの電池の場合、充電に一昼夜必要でしたが、15分で電池容量の80%を急速充電が可能になりました。
■自分たちの給料で買え、当たり前のように電気自動車に乗れる社会を作りたい
--今後の抱負を教えてください。
野田: 将来の夢、自分たちの目指すところは、当たり前のように電気自動車に乗れる社会を作ることです。それが我々の使命だと思っています。折りしも地球温暖化が課題と言われていますが、日本の果たす役割がものすごく大きいと思っています。我々一人一人、何ができるのかということは非常に難しいのですが、電気を使った自動車というのは環境負荷が小さくなることは間違いありません。なんとか、その世界に持って行けるようにしたい。そういったことに自分が従事しているということはうれしいものですし、誇りでもあります。なんとか、自分たちの給料でそうした車が買え、当たり前に乗れる世界を実現したいと思っています。例えば、駐車場の「P」マークの下にコンセントの絵があって、ここが充電スタンド付き駐車場であると案内がある世界です。私の想像ですが、カーナビのシステムに、それと同じように充電スタンドの案内が表示される。目的地入力を行うと、今の充電状態で行けるか行けないか、行けないのであれば、最短の充電スタンドを誘導するシステム等、インテリジェントな世界になれば、エネルギーを非常に効率よく利用できるのかなと思います。
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 最後に、「次に車を買い替える時は、自分たちが作った電池が載った自動車を買って、乗ってみたい」と話す野田。『当たり前のように電気自動車に乗れる社会』の実現に向けた、高性能電気自動車用リチウムイオン二次電池開発への挑戦は続く。

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