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2009/05/14 14:50清水 直茂=日経エレクトロニクス
PHEVの標準化
PHEVを充電インフラなどと接続するためのIECとISOにおける標準化活動は,「IEC/ISO JWG V2G(joint working group vehicle to grid)」と呼ぶ,二つの団体間で意見統一を図る組織で実施している。ここでの取り組みについて,ドイツのエネルギー会社大手RWE AGのIngo Diefenbach氏が講演した(図1)。
IEC/ISO JWG V2Gには二つのワーキング・グループ(WG)がある。一つが物理的な規格に関するWG1である。具体的には,コネクタやケーブル,これらの保護機能,電源のオン/オフ用基板などについて議論する。例えば争点の多いコネクタに関しては,IEC側が,使用事例として充電装置と自動車を接続することのみを想定し,3相交流で最大電圧500V,最大電流63A,7端子(電力用3個,接地用1個,信号用2個,その他1個)といった内容を提案している。
もう一つが通信技術に関するWG2である。安全な通信手法や,通信によるサービスについて議論する。特に,使用事例を明確に想定しながら要件を決めていくことや,相互接続性を確保するための通信プロトコルに関する議論が進んでいる。IEC/ISO JWG V2Gでは,2009年内にこうした議論をまとめて提案書を作り,2010年中ごろに投票を開始して2010年末には規格を策定したいという(図3)。ただし,一見IECとISOの意見が合致しているように思えるが,「まだまだ齟齬は大きい」(Ingo Diefenbach氏)のが現状だ。
一方SAEでの取り組みについて,米国の研究機関Argonne National LaboratoryのTheodore Bohn氏が講演した(図4)。PHEVの標準化についてSAEには大きく二つの規格群がある。PHEVをインフラに接続するための規格群と,PHEVやEVに向けた試験手続きを定めた規格群,である。前者の車両とインフラの接続,いわゆる「V2G」向けでは,コネクタや充電手法,通信プロトコル,使用事例,充電装置などについて規格がある(図5)。例えばコネクタの規定がある「J1772」では,1相交流で最大電圧115V,最大電流15A ,5端子(1相交流用2個,接地用1個,信号用1個,その他1個)といった内容である(図6)。これはIEC/ISO JWG V2Gで議論する内容と大きく異なるが,「お互いに歩み寄っていきたい」(Theodore Bohn氏)という。このため,今後は3相交流として電圧600V,電流600Aまで高める検討などを進めている。
またSAEでは車両と充電インフラを電力線通信(PLC)用装置で接続することを想定し,将来的に車両情報をWebにアップロードすることを考えている(図7)。「車両とスマートメーターとの連携が非常に重要になるから」(同氏)である。
車載電池の標準化
電池の標準規格に関して,ベルギーErasmus University College BrusselsのPeter van den bossche氏が現状の取り組みを講演した(図8)。現在,自動車に関係のある電池の標準化については,鉛蓄電池に関するIEC60254や,電池全般に関するIEC61982がある。後者において平均的な消費電力を1km当たり100Whとした車載向け規格IEC61982-3もある。
こうした規格を基に,2008年からハイブリッド車のLiイオン2次電池を想定した議論が始まっているという。Liイオン2次電池に関しては,ISO TC22 SC21で車両への搭載を前提とした2次電池システムや,IEC TC21で2次電池のセルやモジュールに着目した仕様策定が進んでいる(図9)。「今後は,IECとISOや,その他の団体との間で議論を重ねていく」(Peter van den bossche氏)方針である。さらに将来的にはLiイオンキャパシタについても議論を始めていきたいとした。
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