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2011/03/02

東北大、高性能スーパーキャパシタを開発

図1 開発したスーパーキャパシタの外観
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構の陳明偉教授の研究グループは、3次元ナノポーラス金属/酸化物ハイブリッド電極を用いた高性能電気化学キャパシタの開発に成功したことを発表した。同研究成果は2011年2月20日(英国時間)、英国科学雑誌「Nature Nanotechnology」のオンライン速報版に掲載された。

電気二重層キャパシタ(もしくはスーパーキャパシタ)は、高出力と長寿命を併せ持ち、ボータブル機器からハイブリッド電気自動車まで幅広く応用されるようになってきている。スーパーキャパシタは高電力供給元ではあるが、それらのエネルギー密度は従来の電池や多くのアプリケーションで必要とされる値には届いておらず、例えば、従来のスーパーキャパシタの貯蔵エネルギー密度は約100F/cm3(もしくは150F/g)程度であった。これは、マンガン酸化物(MnO2)のような擬似容量金属酸化物をスーパーキャパシタ中の電極として使うことが有効である一方、MnO2の電気伝導性の悪さ(10-5-10-6S cm-1)がネックとなり、十分な性能を発揮できなかったためである。

研究グループでは、高性能スーパーキャパシタへの応用のため、新規ナノポーラス金属/酸化物(Au/MnO2)ハイブリッド電極材料を開発。同ハイブリッド材料は、独立した3次元ナノポーラス金薄膜にナノ結晶MnO2を無電解めっきして得たもので、MnO2の電析量(厚さ)はめっき時間で制御することが可能となっている。

図2の(a)に記されたナノポーラス金/MnO2ハイブリッド薄膜の典型的な透過電子顕微鏡像を見ると、ナノ結晶MnO2が一様にナノポーラス上にめっきされていることがわかる。
図2 ナノポーラス金属/酸化物(Au/MnO2)ハイブリッド電極材料の。(a)透過電子顕微鏡像、(b)走査型透過電子顕微鏡像、(c)スーパーキャパシタの構成図

また、Au/MnO2界面の走査型透過電子顕微鏡像では、ナノ結晶MnO2が金のリガメントにエピタキシャル成長している様子が観察され、化学結合した金属/酸化物界面が形成されていることがわかる。

ナノ結晶MnO2と金の良好な密着により、このハイブリッド材料の電気伝導性は改善され、電気化学測定により、このハイブリッド電極材料は1160F/cm3(601F/g)の電力・エネルギー密度、および繰り返し使用に対する高い安定性を有していることが判明した。

これにより、開発したハイブリッド材料が、その高比容量と高充放電率から、高エネルギー貯蔵密度と高度な電力供給を併せ持つ次世代のスーパーキャパシタの候補になることが期待できると研究グループでは指摘しており、今後は貴金属である金をナノポーラス銅のような安価な材料で置き換え、安価かつ高性能なスーパーキャパシタの開発に取り組む予定としている。
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<研究に関すること問い合わせ先>
陳 明偉(チン ミンウェイ)
東北大学原子分子材料科学高等研究機構・教授
〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1
Tel:022-217-5992 Fax:022-217-5955
秘書室022-217-5959
E-mail:mwchen@wpi-aimr.tohoku.ac.jp
http://www.wpi-aimr.tohoku.ac.jp/chen_labo/

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