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2008/07/03

堀洋一教授インタビュー



http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080702/154194/
——カー・エレクトロニクスの発展によって,今から10 ~20 年で自動車はどう変わっていくのでしょうか。
 最も大きな変化はカー・エレクトロニクスというものを超えて,自動車自体が電気駆動になっていくということです。電気やソフトウエアが自動車を変えていくというよりも,いわば自動車そのものが電気になる。言い換えれば,将来の自動車は電力系統につながるということです。従来のガソリン・エンジン車がハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車に変わり,そしてピュアな電気自動車になるというシナリオが現実性を帯びてきました。もちろん,現在は別のシナリオも動いています。クリーン・ディーゼル車やバイオ燃料車もありますよね。燃料電池車は少し脇にあるといった感じでしょうか。ただ,電力を供給するインフラがうまく整備できれば,乗り物を動かすアクチュエータは電気モータがよいというのは,鉄道が100年前に証明しているわけです。そう考えると,これらのシナリオの中で比較してもハイブリッド車からプラグイン・ハイブリッド車,そしてピュアな電気自動車に展開していくという流れは,非常に強力なものになってきたと言えます。これは原油価格の高騰が後押しする面もありますが,北海道 洞爺湖サミットを受けて,ますます明確になっていくことでしょう。自動車が電力系統につながることで,自動車の性格も変わってきます。「ちょこちょこ充電しながら走る,電車のようなクルマ」になるということです。鉄道と自動車の違いは何か。鉄道は外からエネルギーをもらいながら走る乗り物であり,自動車は大部分のエネルギーを持って走る乗り物です。これまでの自動車は,ガソリンを満タンにすると走行距離が400k ~500kmで,時速は160kmも出るというものでした。自動車メーカーが「いつでも,どこでも,誰でも」使えるクルマというものを目指してきたからです。しかし今,本当にこれほどの仕様が,すべての自動車に必要でしょうか。現実の用途を考えれば,1日20kmほど走れて,速度も最高で時速100km 程度を出せれば十分,という人が多いのではないかと思います。400k~500km 走れるというのは,サハラ砂漠の真ん中でも大丈夫なほどのスペックです。そんな自動車を都会で使っているというのはナンセンスです。エネルギーを少量しか持たない自動車の話をすると,しばしば「止まったらどうするのか」と言われるのですが,止まってしまうまで給電できないような所に,どれだけの人が行くでしょうか。そのときの自分のニーズに合ったものが選べればよいのです。
——そうした自動車の進化を実現する上で,キーとなるエレクトロニクス技術は何でしょうか。
自動車が電力系統につながり,「ちょこちょこ充電しながら走る」ようになると,キャパシタの出番になると思います。自動車を電気駆動する場合,鉄道のように軌道に沿った架線から常時給電するわけにはいきません。ガソリン・エンジン車のように,400k~500kmも走れるほどのエネルギーをすべて積載しながら走るというわけにもいきません。そこで,小まめなエネルギー供給をつなげていけるような給電インフラを,併せて整備していく必要があります。自動車側は急速充電と急速放電が可能なものを,少しだけ持てば済みます。では,自動車に載せるエネルギー源は2次電池がいいのか,キャパシタがいいのか。私は,キャパシタがいいと思っています。大電流で急速充電できる点は魅力的です。2次電池は,放電は結構速くできるのですが,充電は時間がかかります。例えば,2 次電池を使ったプラグイン・ハイブリッド車の場合,家に帰って1~2時間の充電が必要です。近い将来には15~20分程度になるといわれていますが,それでもまだ長い。その点,キャパシタなら30秒くらいで充電できます。ただキャパシタも,たくさん積むと充電に時間がかかりますから,少しだけ積むようにするべきです。キャパシタには,ほかにも特長があります。充放電に化学変化を伴わないため寿命が長いこと,端子電圧から残存エネルギーが正確に分かること,重金属を使わないので環境に優しいこと,などです。エネルギー密度はLiイオン2次電池などに比べるとまだ劣りますが,キャパシタの技術開発が進むことで追い付く可能性はあります。私の研究室では,実際に電気2重層キャパシタだけで駆動する一人乗り電気自動車「C-COMS」を製作しており,未来の自動車に向けた研究を進めています。
インタビューの全文は,日経エレクトロニクス(2008年7月14日号)と日経Automotive Technology(2008年9月号:2008年7月下旬発刊)に同梱される「AT International マガジン 2008」に掲載します。
堀 洋一:1983年,東京大学大学院工学系研究科 博士課程(電子工学)修了後,2000年に同大学 電気工学科 教授に就任。2002年から同大学生産技術研究所 教授。専門は制御工学やメカトロニクスで,電気自動車の制御技術の研究に長年携わる。

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