http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0812/08/news019.html
Intelは半導体以外にも、IT機器が自分で電力を作り出すための電力源の研究に力を入れている。
2008年12月08日 06時24分 更新
Intelは世界最大の半導体メーカーとして有名かもしれないが、エネルギーセンサー事業と消費電力最適化事業参入に向けた研究にも相当力を入れていることを知る人はあまり多くない。
その目標は、IT機器用に電力会社の電力網以外の新しい電力源を特定・活用するため、創造的なやり方を見つけることだ。これは究極のグリーンITといえる。IT機器が自分で動力を作り出すのだ。
新しい電力源としては、実用化に近い分野では周辺の熱源からエネルギーを取り出すやり方から携帯端末上でトラックボールを動かしてエネルギーを蓄える方法まであらゆるものが考えられる。
Intelは12月5日、サンフランシスコに記者とアナリストを集め、ジャスティン・ラトナーCTOが同社の研究についてのプレゼンテーションを行った。プロジェクトは天気や環境状況などのデータを収集・記録できる省電力型の自律式センサーから、データセンターの監視と運用を支援する伝送装置付き大型センサーまで多岐にわたる。
自立式センサーの方は現在、Intelとカリフォルニア大学バークリー校の研究所が共同で実験を行っている。バークリーの街を走る清掃車に取り付けた自己発電式センサーは持続的に充電を繰り返し、市全域の環境状況に関するデータを収集・伝送する。
センサーは小型無線装置を使い、保存したデータをインターネットクラウドにアップロードする。市の管理者がそこから分刻みで入ってくるデータを監視し、ガス漏れの発生地点を突き止めて早期火災警報を出したり、大気汚染のレベルなど市民に直接影響を及ぼすデータをチェックする。
周辺熱利用センサーと自己発電ライト
周辺熱センサーは、清掃車が放出する周辺熱と太陽熱を使ってバッテリーを充電し続ける。「これは基本的に、『一度設定すれば放置しておける』方式」だとラトナー氏は言う。
ラトナー氏は自立型データセンサーの利用が想定できるさまざまなケースを多数挙げたが、eWEEK読者に最もふさわしいのは、こうした実験的装置をデータセンターに利用するプロジェクトだろう。これは主に、サーバラックの空調をコントロールして電力消費を抑える用途となる。
「データセンターの管理者や設計者を非難するわけではないが、これまで長い間、ただ冷房が十分行き渡るようにしてすべてを華氏65度に保つというのが一般的なやり方だった。『うんと冷やしておけばすべて稼働し続けるだろう』といったやり方だ」(ラトナー氏)
電力が安い時はそれでも構わないが、高くなれば企業はこのリソースをもっとうまく利用することが必要になると同氏は話す。
ラトナー氏によると、もしこのセンサーと認識技術――IntelはWISP(Wireless Identification and Sensing Platform)と命名している――をデータセンターで併用すれば、データを蓄積してデータセンター内の気候モデル作成に利用できる。
熱力学シミュレーションモデルの利用
「次にそのデータを熱力学コンピュータ気候シミュレーションモデルに当てはめて実行する。そうすれば『これ(データセンター環境)が5分後、1時間後、あるいは自分が設定した時間後にどうなるのか』が予測できる」とラトナー氏は続ける。
「これで室内の熱挙動予測が可能になる。いったんこの種のことが可能になれば、データセンター内の伝導カレントに目を向けただけでも――例えば暖流通路と寒流通路などのアプローチを使ってセンター内の放熱を管理するといったアイデアなど――それをデータセンター管理ソフトに取り入れて、自動化に適用できる」
こうしたきめ細かいコントロール自動化が可能になれば、データセンター各所における電力利用をさらにコントロールすることができるようになる。例えばセンターの一画が一定時間ダウンした場合、その部分の冷房用の電力を自動的に停止して、かなりの電力を節約できる。人間が介在する必要はない。
さらに進めば熱認識による付加管理も可能だ。
「(データセンターの)一画で温度が上がり過ぎれば、自動化によって――仮想化と連動して――温度が低い場所にその作業付加を配分し、付加と消費電力を調整できる」
この研究はどこまで進んでいて、実用化はいつごろになるのだろうか。
プレゼンテーション後の取材にラトナー氏は「すべてはまだ初期の段階にある」と答えた。「しかしすべてが極めて有望だ。一部は来年または再来年のIDF(Intel Developers Forum)でデモが見られるかもしれない。周辺熱の電力レベルを引き上げるための新しいスーパーキャパシタ(電力増強装置)にも取り組む必要があるなど、まだ解決しなければならないことはたくさんある。現時点では電子を1つずつ調べ、『1つあったぞ』と言っているような段階だ」
IntelのグリーンITプロジェクトについての詳しい情報は同社のサイトに掲載されている。
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