日本ケミコンの公耐熱キャパシタの説明パネル
http://journal.mycom.co.jp/articles/2008/10/01/ceatec8/
ハイブリッド車はすでに珍しくはなく、充電可能なプラグインハイブリッドや純粋な電気自動車も登場している。これらで常に問題になるのはバッテリーだ。充電速度や容量など、動力源として考えると不満は少なくない。CEATEC会場でバッテリー関連の出品を集めてみた。
東芝は、昨年末に発表した二次電池(充電式バッテリー)「SCiB」をバイクの動力源として搭載したモデルを展示した。SCiBはリチウムイオン電池を発展させたものだが、安全性が高く長寿命、急速充電が可能、実効容量が高いなど、従来の二次電池よりもはるかに優れているところから東芝は「新型二次電池」と位置づけ、積極的にプッシュしている。今回の電動バイクでは、「サイクル特性に優れるため、業務用バイクで想定される短時間の繰り返しに最適」、「約5分での急速充電が可能(充電器は開発中)」などをアピールしていた。
SCiBなどの二次電池も開発が進んでいるが、もうひとつ注目を集めているのが電気二重層キャパシタだ。簡単にいえばコンデンサ、つまり蓄電器のことだが、キャパシタは二次電池とは電気特性が大きく異なり、大電流での充放電が可能という特長を備えている。
FDKは、このキャパシタを自動車のバッテリー(鉛蓄電池)とセットとし、バッテリーの補助として使うシステムを提案。形状やサイズもバッテリーに合わせたものを展示していた。例えばハイブリッド車で充電する際、電流が大きすぎるとバッテリーでは受けきれず、すべてを充電できないことがあるが、そのフローした分をキャパシタに蓄電し、動力として使うわけだ。バッテリーの劣化も抑えられる。
キャパシタは自身が発熱することもあり、高温に弱いという特性がある。そのためエンジンなどの熱源からは遠く離れた場所に置くか、断熱する必要があった。日本ケミコンが出品した高耐熱キャパシタは、70度、85度といった温度でも特性をあまり変えずに機能する。エンジンルーム内への搭載も可能になるかもしれない。
また同社はカーボンナノチューブを使用したキャパシタも展示していた。極端に高いエネルギー密度が可能になるということだが、まだ1枚製作するのにフェラーリ1台分もコストがかかるとのことで、実用化にはもう少し時間がかかりそうだ。
村田製作所が展示した積層セラミックコンデンサは、米国Vectrix社のプラグインハイブリッドスクーターのインバータにすでに採用されたもの。こういった用途にはフィルムコンデンサやアルミ電解コンデンサが使われることが多いが、熱による劣化が問題になることもあった。セラミックコンデンサは耐熱温度が高く、容量が大きく取れるというメリットがある。また、金属端子部も衝撃を吸収しやすい形状とするなど、車載のための工夫が施されている。
日本ケミコンの耐震構造コンデンサも、車載などを想定して振動に強くしたもの。アルミ電解コンデンサは陰極と陽極のアルミ箔が幾重にも巻かれた構造を取るため、振動に対してあまり強くない。日本ケミコンはこれをかしめることなどで振動に強くしたが、内部が薄い膜のため、非常にデリケートな技術であるとのこと。
ユニークなところでは、村田製作所の「イオナイザ」が目に止まった。これはイオンを発生させ、クルマの車内などで発生する静電気を除去するもの。ドアハンドルに触れた際に静電気で「バチッ」とするショックを軽減するという。
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