http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1020/1020-11.pdf?nem
NEDO海外レポート NO.1020, 2008.4.9
米国エネルギー省はブレイクスルーとなる太陽エネルギープロジェクトに1,370 万ドルを投資
- 全米の大学から11 件のプロジェクトを選択 -
米国エネルギー省(DOE)は、先進太陽電池(PV)技術の製造工程および製品の開発に取り組む11 校の大学が先導するプロジェクトに対して、3年間(2008~2010 年度)にわたり1,370 万ドルを投資することを発表した。これらのプロジェクトは、ブッシュ大統領のソーラアメリカ・イニシアティブに不可欠であり、2015 年までに太陽エネルギーを従来の電力形式に対して価格的に競争力を持つようにすることを目標としている。太陽エネルギーの利用を増加させること、また、温室効果ガスの排出削減および海外石油の依存度を減らす取り組みにおいて、我々の国家のエネルギー源を多様化することは重要である。20%の僅かな大学および産業界のコスト共有と共に、1,740 万ドルがこれらのプロジェクトに投資される。「太陽の自然で豊富なエネルギーを利用し、さらにコスト効率を高くエネルギーに変換することは、温室効果ガス排出量を削減し、かつ電力価格の安定性をより高くすることを支援する計り知れない可能性を持っている。これらのプロジェクトは、太陽電池技術の技術革新を高めるだけでなく、クリーンで再生可能な太陽エネルギーを2015 年までに商業ベースにのるようにするという、大統領の目標を達成させるのを支援する」とDOE エネルギー効率・再生可能エネルギー次官補のアレグサンダー・カースナーは語った。これらのプロジェクトに選ばれた大学は、産業パートナーが製造工程と製品を進歩させるのを支援するために、材料および太陽電池装置についての基本的理解にてこ入れする。これらのプロジェクトは、太陽電池によって生産された電力価格を、1キロワット時(kWh)当たり0.18 ドル~0.23 ドルの現在のレベルから、2015 年までにkWh 当たり0.05ドル~0.10ドルの全国的な電力市場において競合し得る価格まで、低下させる可能性を持っている。これらのプロジェクトは商業化の取り組みを保持し、その結果が市場対応の製品や製造工程へ迅速に移行させられることを確かにするために、各大学はそれぞれ産業パートナーと緊密に協力する。さらに、学生は、多様なPV 関連商業化の問題を経験し、成長中の国内PV 研究開発産業の競争力を増加させ、かつ適確な科学者を雇用するという取り組みにより労働力の開発を高める。光起電力に基づいた太陽電池は、コンピュータ・チップで使用されるものに似た半導体材料で作られており、太陽光を直接電力に変換する。太陽光がこれらの材料に吸収される時、太陽エネルギーはその構成原子から電子を放出させ、電子が材料中を流れることを可能にして電力を生産する。この光を電力に変換する過程が、光起電力効果と呼ばれている。これらのプロジェクトは、DOEの2007年6月20日の「資金提供公募、大学の光起電力プロセスおよび製品開発支援」に応じて選択された。それは、急速に成長しているPV産業への大学の関与を強化することを求めている。選ばれた応募者とDOE との間の交渉は、直ちに最終プロジェクト計画と資金提供レベルの決定を開始させる。この資金提供は議会歳出予算に従う。選択されたプロジェクトを以下のものを含む、
1. アリゾナ州立大学(テンピ、アリゾナ州)とSolFocus 社とSoliant Energy 社:
-国際電気標準会議(IEC)認定仕様による集光型太陽光発電の信頼性評価
集光型太陽光発電の最近のブームは、IEC 製品検査を受けるために待っている商品の大きな受注残を作り出している。このプロジェクトは、試験の処理量および効率を大きく増加させるために、産業界との日程や調整を向上させる一方で、環境室試験のような品質試験のボトルネックを減らすことに注目する。DOE は、このおよそ80 万ドルのプロジェクトに、最大62 万5,304 ドルを提供する。
2. カリフォルニア工科大学(パサデナ、カリフォルニア州)とSpectrolab 社:
-インジウムリン基盤多重接合太陽電池のためのシリコンラミネート基板上の100ミリメートの加工インジウムリン
インジウムリン(InP)は、多重接合太陽電池を形成する非常に望ましい基板であるが、そのコストが高性能な電池を制限している。このプロジェクトは、安価なシリコンラミネート基板へのInP 薄膜層の接合により、InP 層の厚さを10 分の1 に縮小することを目標とし、コスト効率が良く拡張可能なInP 基盤多重接合電池プロセスを可能にする。言い換えると、このことは、高効率多重接合太陽電池のための新しい設計空間を開く。DOE は、このおよそ100 万ドルのプロジェクトに、最大83 万7,000 ドルを提供する。
3. ジョージア工科大学(アトランタ、ジョージア州)とSixtron 社:
-次世代高効率商用シリコン太陽電池の背面接点技術
性能向上のための電池加工技術は、シリコン産業でよく確立されている。しかし、そのほとんどはより高い加工コストをともなっている。このことは効率の限界増進によって確認されてはいない。このプロジェクトは、すぐに商業化ができる17~20%の効率の装置を生産する十分に廉価な電池プロセスを産出するために、向上したコスト効率の良い背面の表面安定化処理、光トラッピングおよびインクジェット印刷背面接点を開発する。
DOE は、このおよそ190 万ドルのプロジェクトに、最大150 万ドルを提供する。
4. マサチューセッツ工科大学(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)とCaliSolar 社およびBPSolar社:
-高性能で廉価な結晶シリコン太陽電池のための、欠陥エンジニアリング、電池加工およびモデル化
このプロジェクトは、これらの廉価な大量生産基板のコスト優位を保持する一方で、工業用多重結晶シリコン電池と高効率な単結晶シリコン電池との間の効率ギャップを縮めるために、欠陥を評価して太陽電池内の欠陥の分布を操作する。このプロジェクトは、ピークワット当たり1 ドル未満の生産コストで18~22%の効率的な電池を目標としている。DOE は、このおよそ190 万ドルのプロジェクトに、最大150 万ドルを提供する。
5. ノースカロライナ州立大学(ローリー、ノースカロライナ州)とSpectrolab 社:
-超高効率多重接合太陽電池のための調整可能な低エネルギーギャップ吸収体
多重接合電池の変換効率は、各層の太陽の広域スペクトルへの応答性のバランスを保つことにより、また各層が発生する電流との調和により増加する。このプロジェクトは、1~1.5 電子ボルトの段階的な歪みサブ電池層、そして、次に、Spectrolab 社の3 重接合スタックへ、この層を統合し4 重接合太陽電池を作成することの開発と最適化により、これらの両改善を追求する、このプロジェクトは、45%の世界記録効率を目標としている。DOE は、このおよそ140 万ドルのプロジェクトに、最大114 万7,468 ドルを提供する。
6. ペンシルベニア州立大学(ユニヴァーシティーパーク、ペンシルベニア州)とHoneywell 社:
-高効率で廉価な大面積拡張可能な太陽エネルギー変換用の有機半導体異質接合太陽電池
有機太陽電池は、極端な低価格の見込を持っている、しかし現在は接合界面構造の欠点により低い変換効率を持っている。このプロジェクトは、7%以上の効率を持った廉価な太陽電池を作る有機半導体と結合する高秩序の大面積二酸化チタンナノチューブ配列の使用に注目する。DOE は、このおよそ150 万ドルのプロジェクトに、最大123 万1,843 ドルを提供する。
7. デラウェア大学エネルギー変換研究所(ニューアーク、デラウェア州)とDow Corning 社:
-CIGS 太陽電池用の廉価な絶縁フォイル基板の開発
現在、柔軟な銅インジウムガリウムセレン(CIGS)モジュールの直接形成は、高品質の薄膜を生産するのに必要な高い加工温度に耐える安価な基板の欠如により制限されている。このプロジェクトは、様々なロールトゥーロールCIGS 生産技術に適用可能なモジュールプロセスおよびシリコン基盤樹脂誘電体で覆われた廉価なステンレス鋼の柔軟基板の開発を目標とすることにより、この限界に取り組む。プロジェクトは、この基板
に基づいた12%を越える効率を持った装置を目標とする。DOE は、このおよそ185 万ドルのプロジェクトに、最大147 万8,331 ドルを提供する。
8. デラウェア大学(ニューアーク、デラウェア州)とSunPower 社:
-高効率背面接点シリコン異質接合太陽電池
このプロジェクトは、電気的特性を向上させ、かつ低温プロセスを可能にするために、結晶電池セルにアモルファスシリコン(a-Si)フィルムを蒸着する。電池に入る光量を増加させ、かつ26%以上に変換効率を増加させるために、金属接点は電池の背面に移動される。DOE は、このおよそ190 万ドルのプロジェクトに、最大149 万4,736 ドルを提供する。
9. フロリダ大学( ゲインズヴィル、フロリダ州) とGlobal Solar Energy 社、
International Solar Electric Technology 社、Nanosolar 社 および Solyndra 社:
-CIGS 吸収体の迅速な合成法
このプロジェクトは、種々の加工条件の下でCIGS 薄膜の形成について定量的に説明する予測モデルを開発する。これらのモデルは、処理時間を縮小し、商業製造のための拡張問題を識別するための、最適処理処方を開発するために使用することができる。プロジェクトは、2 分以下のCIGS 合成時間を目標としている。DOE は、このおよそ80 万ドルのプロジェクトに、最大59 万9,556 ドルを提供する。
10. トレド大学(トレド、オハイオ州)とCalyxo USA 社:
-薄膜CdTe 吸収体層製作のための向上した大気圧蒸着
最高記録のテルル化カドミウム(CdTe)薄膜デバイスは、8 マイクロメーター(μm)厚のCdTe 層を利用している。しかし商用生産でのこの構造の複製は、材料費および蒸着時間を増加させる。このプロジェクトは、CdTe 層の厚さをおよそ1μm にし、10%のモジュール効率を目標とする。接点、均一性および単一体集積化への改善も達成される。DOE は、このおよそ170 万ドルのプロジェクトに、最大116 万4,174 ドルを提供する。
11. トレド大学(トレド、オハイオ州)とXunlight 社:
-大面積VHF PECVD を使用したアモルファスシリコン基盤薄膜太陽電池の高速製作
従来の蒸着工程の増加する工程処理がより低い装置効率をもたらすので、アモルファスシリコンモジュールの加工コストの削減は困難であることが分かっている。このプロジェクトは、高効率アモルファスシリコンおよびナノ結晶体シリコン太陽電池を高速で作り上げる一方で、高い効率を保持することを目標とする。プロジェクトは、アモルファスシリコン/ナノ結晶シリコン(a-Si/nc-Si)太陽電池の10%の変換効率を目標とする。
DOE は、このおよそ190 万ドルのプロジェクトに、最大144 万2,266 ドルを提供する。
ブッシュ大統領の太陽アメリカイニシアティブに関しての詳細は:http://www1.eere.energy.gov/solar/solar%5Famerica/
(出典:http://www.energy.gov/news/6071.htm)
ここにはトップやアーカイブページで省略される(記事単独ページでだけ表示される)文章を書きます。
0 件のコメント:
コメントを投稿