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2008/04/03

東芝、高速充電リチウムイオン電池を事業化


東芝の新型リチウムイオン二次電池SCiB の標準モジュール
http://www.designnewsjapan.com/issue/2008/02/u3eqp3000001gov1.html
東芝は、5分間で容量の90%以上を充電でき、10年以上の長寿命と安全性を向上した新型リチウムイオン二次電池「SCiB(Super Charge ion Battery)」を開発した。まず産業・工業製品向けに2008年3月から量産を開始する。工場は長野県佐久市の東芝電池敷地内に新ラインを設け、10年までに約200億円を投資する。15年度の売上高目標は約1,000億円。 同社は、携帯機器用のリチウムイオン電池事業を展開していたが、採算の悪化を理由に04年に撤退しており、今回の製品開発により再度二次電池事業に参入することとなった。ただし、今回のSCiBが対象とする市場は携帯機器ではない。電動自転車、電動バイク、フォークリフトや建設機械、非常用電源や風力発電における電力回生や電力品質の安定化用途を皮切りに、現状からさらに性能向上を図った後にはハイブリッド自動車や電気自動車への展開を広げ、今後の二次電池アプリケーション市場の拡大をけん引する分野での地位確立を目指している。
高安定性と長寿命

SCiBと他電池やキャパシタの比較(出展:東芝)。SCiBセルのエネルギー密度は単純計算では約67.2Wh/kg。一方グラフ内の電気二重層キャパシタのエネルギー密度は数Wh/kg、ハイブリッド車用ニッケル水素電池(HEV用Ni-MH)は約50Wh/kg、モバイル機器用リチウムイオン電池(LIB)は150Wh/kg前後と言われている。
SCiBは、負極材料としてリチウムイオン電池で一般的なコバルト酸リチウムの代わりにチタン酸リチウムを採用するとともに、耐熱性の高いセパレータ、高引火点の電解液などの新材料を使用することで、内部短絡による熱暴走、発火、破裂の危険性を低減した。 さらに、容量の90%以上の充電時間が、一般的なリチウムイオン二次電池が通常充電で120分、急速充電でも30分必要なところを、高い安全性を確保しつつ50Aの大電流充電で5分で完了することができる。さらに、−30℃の低温環境でも十分な放電力を発揮し、電気二重層キャパシタ並みの高い入出力性能を持つことから、屋外で使用する機器や、大パワーの必要な工業・産業用途に最適としている。 寿命は、3,000回の充放電後も容量低下が10%未満で、5,000回の充放電あるいは1日1回の充電で10年以上使用することができる。 SCiBのセルは、サイズが約62mm×95mm×13mm、重さが約150gで、公称電圧が2.4V、公称容量4.2Ah。製品化する標準モジュールは、このセルを10個直列に配列しており、サイズが約100mm×300mm×45mm、重さは約2kg、電圧は24V。モジュールには、電圧・温度監視、異常監視・保護、セルバランス調整などの機能を備えたバッテリー管理システムを搭載している。 リチウムイオン電池といえば、06年〜07年にかけて多発した発熱、発火などの不具合によるリコールの印象が深いが、これは負極材料にはコバルト酸リチウムを用いたノートPCや携帯電話機向けの製品で起こったことである。負極材料にチタン酸リチウムを採用するSCiBでは、短絡が起きてもセル温度は100℃以下に収まり、発火することがないという実験結果も示している。 (朴 尚洙)

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