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2008/06/16

【続報】住友電気工業の超電導モータ車,業務用車両で10年以内に実用化を目指す


http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080613/153275/
【続報】住友電気工業の超電導モータ車,業務用車両で10年以内に実用化を目指す
住友電気工業は2008年6月12日,超電導モータを搭載した試作車を報道関係者向けの発表会で披露した(図1,関連記事)。搭載したモータは,クローポール形のDCモータで固定子(ステータ)に超電導コイルを,回転子(ロータ)に銅線を用いた。 同社は今回,超電導モータを搭載した電気自動車を試作した理由として,リニアモーターカーなどの鉄道車両をはじめ,超電導ケーブルや船舶用の超電導モータが実用化されつつある中で,超電導を使ったアプリケーションがもっと身近な存在であることを知ってもらうためとしている。 今回試作したモータは試乗できる車両を早急に製作したかったことから,ACモータではなく,しかもロータを超電導コイルにしていない。また,ステータの超電導コイルには100A以上流せるが,安全面を考えて最大で40Aまでの電流しか流していないとのこと。超電導コイルは同社が発売しているBi(ビスマス)系線材「DI-BSCCO」を240m使っている。線材は幅4mm×厚さ0.2mmである。 モータの上部には容積4Lの液体窒素タンクを搭載し,これにより固定子を冷却して超電導状態を発生させる。4Lの液体窒素で2時間ほど超電導状態を保持したまま走行できるという。超電導コイルは熱電対や電流センサで監視しており,温度上昇により超電導状態が破れる前に電力の供給を遮断する。 ベースとなる車両はトヨタ自動車の「コンフォート」。エンジンを取り除き,その部分にモータを設置し,手動変速機と接続させた(図2)。モータは出力31kW(3000rpm時)で,外形寸法は直径約300mm×長さ400mmである。電源には12Vの鉛蓄電池を12個直列に接続し,電圧を144Vに高めて利用している。モータは回転数が低い状態でもトルクがあるため,手動変速機を5速に固定して車両を駆動させていた(図3)。
・まずは業務用車両から
 住友電気工業では,船舶で超電導モータの実用化が近づきつつあることから,陸上輸送でも需要はあるとみており,ハイブリッド車やプラグイン・ハイブリッド車,電気自動車など電動車両に超電導モータを利用することで,モータの小型化や低電圧化を図れるとしている。 実用化については,頻繁に利用しない乗用車への搭載はまだまだ先であるが,バスなどの業務車両で10年以内に搭載できるようにしたいとした。業務車両の場合であれば,まずは冷凍機を取り付けずに,1日走行する間だけ冷却可能な液体窒素を搭載する走行モデルを想定できるとしている。 将来的には冷凍機が進化することで,小型冷凍機を乗用車に搭載できる大きさとなり,利便性が向上するとしている。さらに,液体水素を燃料とする燃料電池車と組み合わせることができれば,液体水素を使って超電導モータを液体窒素よりも低温で冷却でき,より大きな電流を流せるとしている。実際,現状の超電導コイルであれば,液体窒素で200A程度までしか流せなかった電流を液体水素で20K(-253℃)に冷却することで,1000A程度まで流せるという。これにより,モータをより小型化したり,大出力化したりできるとする。

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